今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
英国の自然科学者チャールズ・ダーウィンは、1872年の著書『人及び動物の表情について』の中で、常に笑顔の人についてこんなふうに書いている。「いつも笑っている、または笑顔でいる大勢のバカたち」
日本では一般的に、笑顔は「親しみ」や「愛嬌」といった好印象なイメージと結びついている。そして海外へ行った際も相手に好印象を与えようと笑顔を絶やさないという人もいるだろう。また相手が何を言っているのかよく分からず笑顔で誤魔化した、なんて経験がある人も少なくないのではないか。
だが日本の感覚のままで相手に好印象を与えようと笑顔を振りまくことが、実は外国で逆効果になっているかもしれない、としたらどうだろうか。
非言語行動の専門誌『非言語言動ジャーナル』で最近、「笑顔を見せる場所に注意」というタイトルの論文が発表されて、大手メディアなどで話題になった。サブタイトルには、「文化によって個人の笑顔から感じと取る知性と誠実さの度合いが変わる」と書かれている。つまり、世界では、ニコニコしていることが、140年以上前にダーウィンが指摘したように「バカ」のあかしだと受け取られることもあるというのだ。世界との距離がどんどん縮まりつつある世の中で、ビジネスパーソンだけでなく、海外を旅することが多い人にとっても、この研究は参考になるかもしれない。
この論文は、ポーランド科学アカデミーの文化心理学であるクバ・クリス准教授が主導した調査の結果である。クリスは、40人の研究員らと2011年から2015年にかけて、世界の44カ国で5200人以上を対象にして調査を行った。対象者のうち男性は約56%、女性は約43%で、平均年齢は約22歳だった。
クリスは、「笑顔の人はたいていの場合、笑顔のない人よりも好ましく見られるし、より幸せで魅力的で、能力があり、フレンドリーと見られる」と述べ、こうした見方は世界中で文化的に共通していることだと思われているが、実はそれを証明する調査などはあまり行われてこなかったと指摘する。
そこで彼は、8人の笑顔と笑顔のない写真のサンプルを並べたスケールを用意し、それを使って調査を行い、知的さと誠実さとの関係性を調べた。それを見ると、国ごとの違いがはっきりと出ており、非常に興味深い結果となっている。
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