8月25日、シンガポールで世界初の自動運転タクシーが試験サービスを開始した。MIT(マサチューセッツ工科大学)出身の研究者2人によって設立された米国のベンチャー企業nuTonomy(ヌートノミー)が運用しており、同社が開発した専用アプリで呼び出して乗ることができるという。
現在はまだ実験段階なので、技術者が同乗して非常時の停止操作などを行う。一部地区での運行に限られ、利用者についてもあらかじめ選ばれた住民に限定しているとのことだが、2年後には正式にサービス化を目指すという。
もっとも、これが一般人が乗って公道を走れる世界初の自動運転車というわけではない。例えば今年6月にはスイスのシオンという都市の旧市街で、BestMile(ベストマイル)という同国のベンチャー企業が自動運転小型バス「ARMA」を走らせている。
距離は1.5キロほどだが、一般人を乗せて公道を走る自動運転プロジェクトはこれが世界初だとBestMileは表明している。こちらも現状ではオペレーターが乗務しており、非常時には停止ボタンを押すなどの業務を担当している。
この2つの自動運転プロジェクトを比較すると、共通点が多いことに気付く。
まず車両の開発と頭脳の開発が別企業で行われていることが一致している。役割分担は違っており、nuTonomyはルノー「ZOE」や三菱自動車工業「i-MiEV」といった市販電気自動車を自身の技術で自動運転化したのに対し、BestMileは「ARMA」に独自のソフトウェアを組み込んで運用を行うものだが、全てを自社でまかなおうとしている自動車メーカーの自動運転車とは一線を画している。
nuTonomyやBestMileは、多くの自動車メーカーのように、自動運転車を生産販売して利益を上げようという考えがない。自動車を作って売るということは、組み立て工場、販売店、整備工場、部品倉庫など、多大なる投資が必要となるからだ。その分利益率も高くなるが、2つのベンチャー企業はそれよりも、社会を変えたいという意識のほうが高いようである。
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