日本に限らずとも、例えば首脳などのVIPが訪問する際には警察当局が徹底して、犯罪シミュレーションを行っているし、大きなイベントがあれば所轄警察が犯罪予測もして警備などを行っているはずだ。ただ単に過去に警察が把握した事件をデータベース化するだけなら、おそらくすでにほとんどの警察が行っているだろう。少なくともいまさら6500万円プラス5900万円の予算をかけて予測システムを開発する必要はないかもしれない。
もちろん、新しいシステムを導入していくという気概は大切だろう。また市民へのアピールという意味では、何もしないよりはいいのかもしれない。京都府警について言えば、今後この高価なシステムが「使える」モノかどうか、データベースがきっちりとその答えをはじき出してくれるはずだ。「予測型犯罪防御システム」の費用対効果に注目したい。
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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