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» 2016年11月14日 06時30分 公開

新人記者(ハラペコ女子)が行く:なぜ2万5000円の高級トースター「バルミューダ」は売れるのか? (2/2)

[青柳美帆子,ITmedia]
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どうしてバルミューダを買ったのか?

 10月にBALMUDA The Toasterを買ったばかりの50代会社員Rさん。筆者の母だ。家に帰ったら新しいトースターが鎮座していてかなり驚き、値段を聞いてもう一度驚いた。どうして購入に踏み切ったのか聞いてみた。

――どこでBALMUDA The Toasterを知ったの?

 「深夜に通販番組を見ていたら、このトースターが取り上げられていて。ちょうどトースターを買い替えたいと思っていたんだよね。定価は2万5000円くらいだけど、特別価格で2万円くらいだったの。『安い!』と思ってすぐに注文したよ」

ある日、いきなり家に鎮座していたバルミューダのトースター

――や、安いかな……。どこが魅力だと感じたの? 5つしかモードがないのはマイナスじゃなかった?

 「おいしいパンを食べられるところ。特に番組で実演されていたピザトーストがすごくおいしそうだった。スチーム機能があるから、白い煙が出るところも変わっていてよかったと思う。あと、たくさん機能があっても正直使わないし、よく分からないから……パンのトースト機能だけあればいいんじゃない?」

――まあ、そう言われるとそうかも……。我々、料理そんなにしないもんね。買ってから数週間が経過したけど、満足してる?

 「満足してるよ! トーストしたパンがすごくおいしくてびっくりした。みーちゃん(筆者)も値段に文句言ってたけど、おいしかったでしょ? あと、家に来た友達にピザトーストを焼いてあげたんだけど、『すごい!』『おいしい!』と言ってもらえて大満足」

キーワードは物より体験

バルミューダの寺尾玄社長

 バルミューダの寺尾社長は、11月10日開催のサイボウズ年次イベント「サイボウズデイズ」で講演を行い、次のように語った。「バルミューダのことを家電メーカーだとは考えていない。“物より体験”という仮説を掲げて製品を作る、テクノロジーとクリエイティブの会社だと思っている」。

 この仮説は、寺尾社長の体験から生まれたのだという。

 「以前、浅草の老舗洋食屋が出したレシピブックを買ったことがある。週末にレシピ通りに料理を作って、子供がすごく喜んだ。その時、ふと『自分は本当に本を買ったのだろうか?』と疑問に思った。おいしい洋食を食べたいだけなら、浅草に行けばいい。本を買ったのは、子供たちに『すごいね!』と褒められる自分を想像したから。自分はあの本ではなく、体験を買っていた」

 筆者の母は、家電にそこまで詳しくなく、また料理に対するこだわりもあまりない。それでもバルミューダのトーストを買ったのは、「トースター」という“物”ではなく「おいしいピザトーストを食べる」「ピザトーストを家族や友人に焼いてあげて褒められる」という“体験”を求めたから――と言うことができるだろう。

 バルミューダのトースターが“体験”を重視しているのは、Webページを見れば一目瞭然だ。トースターのページなのに、トップには本体の写真は載っていない。掲載しているのは、トースターを使って焼き上げたチーズトーストの写真なのだ。

 「2万5000円のトースターは欲しくない、でも、世界一のバタートーストは食べてみたい。だからバルミューダのトースターを買ってもらえる」(寺尾社長)

 バルミューダは今後も“物より体験”をキーワードにキッチン家電を順次投入。ロボティクス商品の研究開発も始めているという。

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