──現場の社員を対象としたタレントマネジメントの取り組みとしては、どのような形で行われているのでしょうか?
原田: ビジネス上、大規模な提案活動やプロジェクトを推進するには、その案件に適した専門性や経験を持つ人材をいち早く探し出してアサインする必要があります。そのために現場部門のマネジャーがタレントマネジメントを活用したいというニーズが多く聞かれるようになりました。
また、チームマネジメントの観点で、「在宅勤務をはじめとした新たなワークスタイルの実現のために、配下の社員のプロファイルをより詳細に知りたい」というニーズに応えるためにタレントマネジメントの導入を検討する企業も出てきています。
──タレントマネジメントの取り組みをうまく回している日本企業の例を教えてください。
原田: とある大手メーカーでは、グローバル市場における競争力向上を目的にタレントマネジメントに取り組んでいます。案件の受注と推進体制をより強化するために、プロジェクトごとに最適な人材をグループ全体から探し出せる仕組みを、グローバルレベルで構築しています。この企業の特徴的な取り組みの1つに、社員の人事評価システムの中にタレントマネジメントを組み込んでいる点が挙げられます。
タレントマネジメントの成否を左右する重要な要素の1つに、社員が自身の情報を積極的に登録・更新して、人材情報データベースの鮮度を新鮮に保つことが挙げられます。その点、人事評価システムへの入力を怠れば自身のスキルや経験が評価に反映されなくなるため、社員は否応なしに自身の最新情報を登録せざるを得なくなるのです。結果として、人材情報データベースの鮮度も保てるようになります。
──なるほど。逆に言えば、こうした工夫を怠ると人材情報が陳腐化してしまうわけですね。
原田: その通りです。情報を登録・更新するインセンティブがなければ、社員は情報のメンテナンスを怠ってしまいます。結果、システムを導入したにもかかわらず、数カ月後には情報が陳腐化することもあります。タレントマネジメントの導入に失敗する典型的なパターンの1つですね。
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