福岡の復旧工事に海外絶賛! その裏で世界を読み解くニュース・サロン(3/4 ページ)

» 2016年11月24日 07時15分 公開
[山田敏弘ITmedia]

地下鉄工事は危険視

 世界では市の対応まで評価されているわけだが、翻って日本の反応を見ると、そもそも道路を陥没させたことに問題があったのではないのかとの指摘も出ている。事実、今回の陥没は地下鉄の工事が原因で起こった「人災」だった。

 今回の陥没事故について、福岡の地元情報サイト『メディア政経9』によれば、地下鉄工事の危険性は「以前から指摘されていた」という(参照リンク)。「穴の中は、噴き出した下水などがあふれ、道路際に建つビルの地下部分がむき出しになっている。実は、以前から地下鉄工事は危険視されており、陥没は予測されていたものだった」

 この地下鉄工事は、福岡市内を走る七隈線(ななくません)を延伸するためのもので2014年にスタートしている。実は、2014年にも今回の事故現場からそう遠くない場所で、陥没が起きていた。また延伸工事より前の2000年にも、七隈線関連の工事で陥没が起きているという。

 福岡在住の関係者によれば、「博多などはもともと湿地で地盤は埋め立てた砂地でゆるいため地下鉄関連の工事は難しい。その上に、工事の予算があまりに少ないため、ゼネコンが大赤字を覚悟で地下鉄工事を受注している」のだという。

 もちろん、海外では、原因うんぬんよりも、起きてしまった事故に対して復旧が早かったために大きく報じられた。ただ残念ながら、海外ではその原因や背景といった本質にまで迫った記事は著者の知る限りほとんど見られなかった。

福岡市内の様子

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