2つ目の海洋データに関しては、衛星データの活用をしています。魚の動きとともに、養殖環境のモニタリングを行うことも重要です。愛南町の養殖場は、太平洋の黒潮の影響を受けます。この海流の表面温度やプランクトン分布をモニタリングすることで、広域の養殖環境のモニタリングができます。衛星の優位性はやはりマクロで見えることです。将来衛星機数が増えて、データのリアルタイム性が増せば、ますます重要なセンサーになると思います。
3つ目の遺伝子データですが、近年は遺伝子解析のPCR技術を環境モニタリングに展開する動きが出てきており、ウミトロンでは養殖環境の水質モニタリングに活用することを考えています。私が客員研究員を務める愛媛大学では、海水サンプルをPCR技術で解析することで、プランクトンの個体数をカウントし、それを継続モニタリングすることで、赤潮の発生予測を行うという研究が進められています。
赤潮の際には、水中の酸素濃度が落ちます。その状況でさらにエサを食べると酸素消費量が増えてしまうため、赤潮発生時にはエサやりを止めたり、生簀の場所を移動したりしないと魚が酸欠で死んでしまいます。15分程度の短い時間でも魚の生存率が下がっていく世界ですので、赤潮の発生予測は養殖環境モニタリングにおいて非常に重要なのです。
こうしたさまざまなデータ収集・解析・統合を行うために、チームを組んでいます。現在フルタイムでは私1人ですが、ほかに魚の栄養学に詳しいインドネシアからの留学生、バイオインフォマティクスの専門家である日本人と3人でやっています。当面の目標としては、愛媛県の実証事業で、実際にエサが減ることの定量評価と実績を作り、遠隔でのデータ解析と現場オペレーションの融合をしていきます。
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