連載
» 2016年12月06日 08時00分 UPDATE

スピン経済の歩き方:画期的な発明をした『WELQ』の落とし穴 (2/5)

[窪田順生,ITmedia]

「タイアップ記事」のセールストーク

 なぜ検索上位にあげるのかというと、媒体の広告価値をあげるためだ。例えば、WELQの媒体資料を見てみると、150万円で売られている「タイアップ記事」は以下のようなセールストークとなっている。

 WELQ編集部にて貴社オリジナル記事を作成します。記事で商品の理解を深めた後、記事ページのボタンから貴社指定ページへ誘導します。コンテンツになじむ形で、広告色をおさえた自然な訴求ができます。

 つまり、「一般の方からの投稿」になじむ広告というわけだ。広告業界の方からすればいろいろ細かな違いはあるのだろうが、受け取る読者側からすれば、「ステマ」となんら変わりがない。

 事実、今回の問題後も運営体制が異なるということでしばらく継続していたMERY(12月7日に全記事を非公開化)も9割以上の記事が削除されたとBuzzFeedが指摘したが、裏を返せばそんな状況に陥っても2割近くの記事を公開し続けなくてはいけない「オトナの事情」があったということだ(参照リンク)。

 ただ、そのような「ステマ」的な問題もさることながら、これらのメディアがよくできているなあと関心するのは、「一般の方からの投稿」という魔法の言葉によって、ある画期的な発明をしたことだ。

 それは一言で言ってしまうと「責任の放棄」である。

 既に閉鎖されてしまったがWELQの記事には、このような注釈がついていた。

 当社は、この記事の情報及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただきますようお願いいたします。

 外部ライターに無断転用などで記事を大量生産させるシステム維持のためのリスクヘッジであることは容易に想像できるが、冷静に考えるとこれはすごくないか。

 正確性など一切責任を負わないというスペースの一部を150万円で売りつけているというダイナミックなビジネスモデルもさることながら、なによりもすごいと感じるのは、この文言によって、これまでのメディア運営者たちがやりたくてもできなかった「あらゆる責任から解放されたメディア」の実現を試みている点である。

代表取締役社長兼CEO 守安功からの一連の事態に対するお詫びとご説明(出典:DeNA)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

Digital Business Days

- PR -