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» 2016年12月06日 08時00分 UPDATE

スピン経済の歩き方:画期的な発明をした『WELQ』の落とし穴 (4/5)

[窪田順生,ITmedia]

問題を引き起こした背景

 総務省も『Twitterの利用者では日本は「匿名利用」が7割を超え、他国に比べても顕著に匿名利用が多い状況にある』(情報通信白書平成26年版)としているほか、『SNSにおける実名公開の抵抗感についても「やや抵抗感がある」+「抵抗感がある」の合計が日本は6割を超えており、他国が3〜4割前後であるのに対し、顕著に多い状況にある』と指摘しているように、日本人は「匿名」での情報発信を好む。

 このような匿名性の高いネット社会では、匿名の情報が平然とやりとりをされ、その信頼度があがっていく、というのは容易に想像できるだろう。読者自身も素性を隠して、さまざまな発言をしているわけだから、匿名の記事、匿名の投稿に対してそれほど抵抗感を抱かない。

 余談だが、この匿名カルチャーの土台になっているのは、日本の新聞である。情報源や執筆者が明らかになっていないものは信用できない、という考え方が多い海外と異なり、日本の新聞は執筆者不明の記事が溢れている。これについて日本の報道は多くの人が携わっている「分業制」だからだとかもっともらしい説明をする人もいるが、実のところは匿名によって「責任」を散らし、その所在をあやふやにするというリスクヘッジの意味合いのほうが大きい。

 そういう視点で見ていけば、メディアそのものの匿名性が強まっていったことが、今回の問題を引き起こしたようにも思う。

 実は『WELQ』はテキトーな記事ばかりを掲載していたわけではない。前身とされる『Medエッジ』は海外の医療論文をもとにした記事を配信していた。編集長は『日経メディカル』や医療情報サイトなどの運営をしていた方で、スーパーバイザーには、京都大学名誉教授で医師の西川伸一氏がついていた。そもそも運営元も医療サービスを取り扱う「DeNAライフサイエンス」だった。当時のMedエッジのアプリでも、「医療メディア」らしい説明がなされている。

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