「会社自体の信頼性が揺らいでいる」――DeNAの守安功社長は、同社が12月7日に開いたキュレーションメディアをめぐる騒動についての謝罪会見でこう語った。
キュレーションメディアをめぐる騒動とは、同社の医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」で記事内容の誤りや著作権侵害についての指摘が続出し、12月7日までにWELQを含む10媒体すべての公開を中止したというものだ。ちなみに同社のキュレーションメディア事業は、2年あまり前にスタートアップ企業2社を買収したことで本格的に注力する形になった。
事の経緯や謝罪会見の内容については関連記事などをご覧いただくとして、本稿では今回の騒動についてマネジメントの観点から見てどこが問題なのかを、これまで長年さまざまな企業の不祥事を取材してきた筆者なりに、以下のように5つのポイントにまとめてみた。
1つ目は「収益至上主義」である。企業にとって収益を追求することは重要な目的だが、成長を至上命令とするばかりに、肝心の製品やサービスの品質がなおざりになってしまうケースは、これまでの企業の不祥事でも数多く見受けられた。
DeNAもこれまでゲーム事業で大きく成長してきたが、2012年をピークに業績が振るわなくなっていた。そうした中でゲーム事業を建て直しながら、さまざまな新規事業にトライした1つにキュレーションメディア事業があった。
だが、「事業の成長を追い求めるあまり、正しく信頼できる情報を提供できる体制を築けなかった」(守安氏)という。今回のDeNAの不祥事も、マネジメントの観点から見ると収益至上主義が最大の原因と言える。
2つ目は「コンプライアンスへの対応」である。企業の不祥事では、つい起きた物事のいい加減さに目が行きがちだが、マネジメントの観点からまず注目すべきなのは、それが法令違反なのかどうかだ。今回のDeNAの騒動に関しても著作権侵害が指摘されており、さらにWELQで扱われていた医療情報が医療関係の法令違反に当たるのではないかとも見られている。
守安氏は著作権について、「非常に重要だと認識している。これまでも著作権者からの削除要請には個別に対応してきたが、著作権者の方々への配慮が欠けていたのは否めない」と話している。既に全媒体の公開を中止しているので、著作権侵害が疑われる記事の垂れ流しはなくなったが、気になるのはこれまで掲載されていた間違った医療情報が原因で、健康被害にあう読者が出ないとも限らないことだ。この点について同社では、問い合わせ窓口を設けるとしている。
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