買い物はそんなに面倒なのかAmazonの2つのサービス(2/2 ページ)

» 2016年12月15日 05時30分 公開
[野町直弘INSIGHT NOW!]
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 スーパーとコンビニが隣接していても、何か購入するときに「安いから」という理由でスーパーに入ったもののレジに列ができているのを見て、諦めてコンビニに入り直すという経験は誰もがしているでしょうし、Amazon Goも忙しい人にとってはかなり便利なサービスでしょう。

 この2つのサービスから感じることは「買い物はそんなに面倒なのか?」ということ。特に個人の買い物にもかかわらず。

 今までは、個人の買い物はどちらかというと「楽しみ」と考えられてきました。日々の日用品の買い物にしても、毎朝チラシを見てどこのお店に買いに行くかを決めたり、店に行って本日のお買い得品が何かによってその日の献立を決めたり――このようなことは労力を伴うものの、こういう上手な買いモノを楽しみながらやっている、という気持ちもあったのではないでしょうか。

 しかし最近は(私もどちらかというとこちらだが)そういう日頃の買い物に掛かる手間が面倒だと感じる人も多くなってきているようです。買い物をサポートしたり、楽に買い物できる仕組みに対するニーズはますます顕在化してきています。

 一方で、仕事で企業の買い物をすることについて考えてみましょう。

 以前、ある企業で開発・設計部門の方にアンケート調査をしたことがあります。その企業では設計者が開発上流の段階で重要な部品のサプライヤを実質的に決めていたのですが、そのプロセスに無駄を感じているというアンケート結果が出ていました。

 具体的には設計者のワークロード全体の約10%の工数が業者交渉・見積もりに費やされており、理想的にはこの業務は開発部門の本来業務ではないので調達購買部門に任せ、その空いた時間を構想設計に振り替えたいという内容です。またサプライヤに関する情報が共有されていない新人だと、どのサプライヤに声をかければいいか分からず「工数がかかる」という指摘もありました。

 このように仕事として企業の買い物をすることに抵抗を感じる人も多いでしょう。人によっては値引き交渉を行うことが恥ずかしいと感じる人もいます。特に仕事として企業の買い物をする(調達購買の仕事)ことは、ここに上げる条件を網羅しなければなりません。

  • ルール通りに買わなければならない
  • 買わなければならない(買えないではすまされない)
  • 交渉をしなければならない
  • 買うものに詳しくなければならない

 こういう条件を考えると、買い物は面倒なことになるのでしょう。今後、Amazonの2つのサービスのように、買い物を効率的に行うことを支援するサービスや楽に買い物ができるニーズは、ますます顕在化していくと考えられます。

 これは何も個人の買い物にだけではなく、仕事として企業の買い物でも同様のことが言えるでしょう。AmazonやGoogleのようなシンプルなGUIや検索技術、リコメンド機能、在庫補充品のワンクリック購買など、調達購買業務の効率化につながる新しい技術やサービスが生まれ、一層発展していくことが近い将来に予測されます。(野町直弘)

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