アラフォーの鬼編集者に囲まれつつも、毎日必死で記事を書いている新人記者たち――元高校球児で“史上最強の応援団長”の呼び名を持つスズキ、家にいるのが何よりも好きな女オタクのアオヤギ、学生時代は考古学を専攻していた「発掘男子」のハマグチ。平成生まれの3人が「最近気になること」に突撃していきます。連載バックナンバーはこちら。
濱口 この前、高円寺の商店街を歩いていたら、面白そうな人を見かけたんですよ。
全身を黄色の服で統一して、「無料でグチ聞きます」と書いた看板を持った人です。その名も「グッチ菊三」さん。
鈴木 ものすごくインパクトのあるキャラクターだね……。実際に相談をしている人はいたの?
濱口 それが、次から次へと相談者がやってきて、列が途切れないんですよ! 客層は20代以上の社会人風の人が多かったですね。
青柳 一体何者なんでしょう……。今のビジネスパーソンの方が、どんな悩みを抱えているかも気になります。
濱口 深い話が聞けそうですね。ちょっと聞きに行ってきます!
JR高円寺駅付近で、「路上グチ聞き活動」を続けるグッチ菊三さん(45)。活動のコンセプトは、「アドバイスをしない」ことだという。にもかかわらず、彼のもとに足を運び、悩みを打ち明ける人が後を絶たない。
相談の内容で最も多いのは、やはり「恋愛」とのこと。ただ、ビジネスパーソンによる仕事関係の悩み相談も多く寄せられるそうだ。今回は、「仕事の悩み」にポイントを絞り、グッチ菊三さんに、現代のビジネスを取り巻く状況について話を聞いた。
濱口 グチ聞き活動は、いつ頃から行っているのですか?
グッチ 2012年9月ごろから、毎週金曜日の夜に、高円寺で道行く人の悩みを聞いています。これまで相談に乗ってきた人数は、おそらく1000人以上になると思います。仕事や恋愛のグチだけでなく、家庭環境や友人関係の悩みなど、何でも聞きますよ。「なんとなく落ち込んでいるけど、理由が分からない」という人でも気軽に相談してもらえるよう、「グチメニュー」も設けています。一人当たり30分で、お金はいただいていません。
濱口 なんと、無料なんですか! 本職はカウンセラーではないのですか?
グッチ お金をいただかない理由は、人の話を聞くことが私の趣味だからです(笑)。本業は別にありますよ。これまで広告や損保の外回り営業や、通信業での電話オペレーターなどの職を経験し、今はバイク便を手掛ける運送会社で配達員として働いています。
相談者さんと話すことで楽しませてもらっているので、お金をいただく必要性がありません。せっかく通りかかったのに、「悩みを聞いてほしいけど、お金がかかるならやめておこう」と立ち去る人がいると寂しいじゃないですか。
濱口 趣味だとはびっくりです。仕事終わりに高円寺に来られているんですね。
グッチ はい。私は産業カウンセラーの資格を持っており、以前は仕事と並行して高齢者向けの傾聴ボランティア活動をしていました。活動の幅を広げたいと思っていた時期に、大阪で路上グチ聞き活動をしている若い男性を取り上げたドキュメンタリー番組を見て影響を受け、私も活動を路上に移しました。
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