赤字路線を生かすか殺すか
赤字路線がある場合、ゲームでは沿線に子会社を作り、住民増を狙う。それができなくても、会社全体で黒字であれば放置だ。廃線は簡単だけど列車や線路の撤去が面倒だ。実際の鉄道ではどうか。沿線の開発に期待できれば残したい。しかし、人口増の期待が薄く、会社全体の業績も思わしくなければ……。
こちらは2010年に発売された『A列車で行こう9』。ゲームより風景の再現や運行シミュレーターとして遊ぶ人もいる。この画像はガイドブックの表紙用に作成した函館の夜景(C)2015 ARTDINK. All Rights Reserved.
こうした知識があれば、A列車で行こうシリーズで遊ぶときに役立つ。逆に、A列車で行こうシリーズで遊んで工夫していくと、実際の鉄道の仕組みに納得できるかもしれない。これは鉄道ゲームに限らず、他の分野でもあり得る。
私は飛行機関連ゲームの『ぼくは航空管制官』シリーズも好きだ。このゲームのおかげで「飛行機が発着する滑走路と風向きの関係」などを理解し、実際に飛行機に乗るときの楽しみが増えた。iPhoneのアプリでは『Air TYCOON ONLINE』という航空会社経営ゲームもあって、2年ほど飽きるほど遊んで飽きた(笑)。
経営シミュレーションなどの職業系ゲームは、実生活に関連した知識が身に付く場合も多く、それも楽しみの1つだ。もっとも、遊んでいて仕事をする気分になってもつまらない。ゲームメーカーの絶妙なバランス感覚が、おもしろくて役に立つ体験を作る。職業系ゲームは大人のためのキッザニア(職業体験テーマパーク)だ。
2015年に拡張パック『A列車で行こう9 Version4.0 マスターズ』と『A列車で行こう9 JR東海パック』が発売された。実在の鉄道車両が登場し、現実味のある風景が描かれる(C)2015 ARTDINK. All Rights Reserved.
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