ビジネストレンド温故知新

それでも42歳の上原浩治は納得していない赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2017年01月04日 06時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

アラフォーでもヒーロー

 来季でメジャー9年目。長きに渡って絶対エースの座に君臨していた巨人には入団1年目の1999年から2008年の10年間在籍していたが、おそらくもう大半の人が「元ジャイアンツのエース・上原」というイメージをいい意味で抱かなくなっているだろう。メジャーリーグのマウンドで中継ぎとして連日フル稼働しながらチームを勝利に導く上原の姿に「カッコいい」と憧れる野球少年たちは筆者が知るだけでも周りに数多くいる。40歳を過ぎながらも子どもたちから、ここまでヒーロー扱いされる人物もやはり珍しい。同じ“オジサン”としては本当にうらやましい限りだ。

 だが、ここに至るまで上原は異国の地においてとてつもないほどの努力を積み上げてきた。このメジャー在籍8年間で死に物狂いになりながら、フォア・ザ・チームの精神を持ちつつ自分の地位も築き上げてきたのだ。

 その根幹を支えているのが彼のバックボーンである「雑草魂」だ。巨人入団前からずっと言い聞かせてきたこの大事な言葉は、いつしかジャイアンツでエースとして活躍し続けるようになると忘れ去られるようになった。だが、メジャーに移籍してから彼は思い起こして自分に再度言い聞かせるようになったはずだ。なぜならばボルチモア・オリオールズへ移籍した2年目の2009年シーズンを皮切りにそれまでこだわり続けていた先発投手のポジションから配置転換され、新境地を見出した「リリーバー」として定着するようになったからである。 

 MLB(メジャーリーグ機構)歴代3位となる36試合連続無四球記録を作り上げるなど、このリリーバー転向はまさにピタリとはまった。オリオールズでのメジャー移籍1年目は先発として12試合に登板したのみ(成績は2勝4敗、防御率4.05)で6月中に右ひじを痛めてからシーズンを棒に振ってしまったが、そこから不死鳥のごとく這(は)い上がって見事な再生を遂げたのである。

 この復活を成したシーズンは35歳。年齢面を考えれば、メジャー1年目のルーキーイヤーが散々な結果になってしまったことでヘタをすれば「引退」の2文字がチラついても不思議ではなかった。しかしながら、ここからが「雑草魂」を心中に蘇らせた彼の新たな伝説の始まりだったのである。

2017年、上原はどのような活躍を見せるのか(出典:シカゴ・カブスのFacebookページ)

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