今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
2017年の年始に、ある行動経済学者の新刊を読んだ。
行動経済学者でベストセラー作家でもある、米デューク大学教授のダン・アリエリーの新著『Payoff』(邦訳なし)だ。過去の著作がドキュメンタリー映画になったほどの有名学者だが、新著の出版もあって、ここのところ欧米メディアでその名をよく見かけていた。最近もメディアで「ここまでになったら私たちは仕事を辞めるべきだ」「従業員を動機付ける方法」など興味深い提言を行っていた。
今回、新年最初となる本コラムでは、2016年11月に出版されたばかりのアリエリーの新著『Payoff』や最近のインタビューから、彼が考察する仕事とモチベーションについて見ていきたい。
そもそも行動経済学とはどんな学問なのか。行動経済学とは、必ずしも合理的ではない人の行動や決断を観察することで、人の経済的な営みを理解しようとするものだ。
アリエリーは、デューク大学だけでなくマサチューセッツ工科大学(MIT)でも教鞭を執っていた経験があり、「行動経済学の第一人者」とも言われている。イスラエル育ちの彼は17歳のときに事故で身体の約70%に火傷を負っており、そんな経験を背負って世界を見ている。2013年には米ブルームバーグで、「世界で最も影響力のある50人」に選ばれている。
ちなみに2008年に収録されたアリエリーの「TEDトーク」でのプレゼンは一見の価値がある(参照リンク)。450万以上の再生回数を誇るこのプレゼンは、ビジネスパーソンの頭を柔らかくするような、知的好奇心をくすぐる内容になっている。
アリエリーは新著『Payoff』で、人間の行動には、さまざまな隠れた動機が存在すると書く。いくつも非常に興味深い話が出てくるが、ビジネスパーソンに参考になりそうな仕事に絡む例をいくつか紹介したい。
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