トヨタ、UAEで燃料電池車の実証実験水素利用の共同研究に参加

» 2017年01月17日 18時05分 公開
[ITmedia]

 トヨタ自動車は1月17日、アラブ首長国連邦(UAE)で、燃料電池車(FCV)の走行や水素充填(じゅうてん)などに関する実証実験を5月に開始すると発表した。産油国であるUAEに水素製造の潜在力があると判断。UAE政府が目指す低炭素社会の実現に向けて水素活用を支援し、FCVの世界的な普及促進につなげる。

photo ドバイで走行するFCV「ミライ」のイメージ

 トヨタは、CO2排出ゼロを目指す人工都市「マスダールシティ」の建設計画を進めるマスダ−ル社のほか、アブダビ国営石油会社、エア・リキード、トヨタの現地ディストリビューターの4社と水素利用に関する共同研究を行うことで合意。その一環として、FCV「MIRAI(ミライ)」を使用した実証実験を実施する。

 FCVの実験では、気温が高い環境における走行試験などを実施。5月に設置される水素ステーションを使用し、水素の充填に関する試験も行う。政府関係者やオピニオンリーダーへの短期リースも実施し、FCVへの理解を広める。

 UAE政府は、大気汚染の改善やクリーンエネルギーの利用拡大などに取り組むプロジェクトを進めており、マスダールシティ構想もその一環。2050年までに低炭素エネルギー比率を50%にする目標を掲げている。今回の共同研究では、マスダールシティにおいて水素製造や物流、事業成立性などに関する研究を実施し、今後の水素活用の可能性を探る。

 トヨタによると、UAEには豊富な水素製造ができる潜在力があるという。石油精製所における水素製造の既存設備の余剰能力や、苛性ソーダ工場などで発生する水素の利用、メガソーラー(大規模太陽光発電所)設備の活用などが期待されている。

 アブダビで1月16日に開幕した世界最大規模の環境技術の展示会で、内山田竹志会長が講演し、「UAE政府のイニシアチブのもと水素社会づくりを推進することにより、UAEが次世代クリーンエネルギーのリーダーとなる可能性がある」と語った。

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