テクノロジーが変える、クルマのカタチ 自動車業界最前線

ミラーレス、画面が乱れたら?安全技術の進化オートモーティブワールド2017(1/2 ページ)

» 2017年01月23日 15時31分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 電動化や自動運転、コネクティッドカーなど、自動車の先端技術を集めた展示会「オートモーティブワールド2017」(1月18〜20日、東京ビッグサイト)では、クルマをより便利にする技術が披露された一方、それに伴うリスクを軽減する技術をアピールする企業が多くみられた。個人情報流出防止や不具合への対応など、先進技術の普及に向けた課題はたくさんある。クルマの先進化を支える技術に迫った。

photo ロームの技術を体感できるシミュレーションデモ装置

ミラーレスの課題に対応

 サイドミラーやバックミラーのかわりにカメラとモニターを設置したミラーレス車が16年に解禁され、その実用化を見据えた技術提案がみられた。

 半導体・電子部品メーカーのロームは、高精細液晶パネル向け車載チップセットに、システムの故障などによる危険発生を減らす機能安全を導入した。チップセットに内蔵される複数のICに、想定される故障モードを相互検出する機能を付与。入力信号や液晶の破壊などの情報を随時確認し、不具合を検出する。

 例えば、サイドミラーの液晶パネルにおいて、画面が焼き付いたままフリーズした場合、運転中のドライバーが自ら気付くことは難しく、重大な事故につながる可能性がある。それを防ぐため、画面がフリーズしていることを検出し、ドライバーに知らせる機能を持たせた。故障にすぐに気が付くことができれば、そのまま車を走らせることなく、対応することができる。「万が一壊れることがあっても、ドライバーを安全に導く」(担当者)ことができるシステムだ。

 ロームは、このシステムなどを体感できるシミュレーションデモ装置をブースに設置。スマートフォンで開錠などができるスマートエントリーや、ミラーレスのモニター、脈波計測ができるセンサー、ハイレゾオーディオなどの機能を提案していた。

 エンジニアリングサービスのディーピーティー(名古屋市)は、ステレオカメラで距離情報などを認識するシステム「Eye-Correct」を参考出品。現在、ミラーレス車に使われるのは単眼カメラが多く、普通の鏡と比べて周囲の車などとの距離を把握しにくいという。その課題を解決するため、ステレオカメラによる視差画像で距離情報を抽出。近くにあるものをはっきり、遠くにあるものをぼんやりと表示させることで、距離感をつかみやすくした。

photo ディーピーティ―が展示した「Eye-Correct」

正確・迅速な前方確認へ

 コニカミノルタは、新開発の「3D 拡張現実ヘッドアップディスプレイ(3D AR HUD)」を参考出品。従来のヘッドアップディスプレイは、歩行者や対向車などを認識すると、その位置情報を画面に固定して映し出す。そのため、ドライバーの視点がずれると、実際の対象物の位置と画面の位置情報がずれてしまう課題があった。3D AR HUDは、独自の技術により、センシングで得た対象物の情報を、その対象そのものの位置に重ねたAR表示が可能。ドライバーの視点の位置が変わっても、正しい情報を認識できる。

 対象物がある位置に情報を映し出せるため、車から10〜100メートルの距離にある複数の対象物の情報を同時に表示することができる。そのため、ドライバーがいち早く歩行者などを視覚的に認識し、余裕を持った判断や操作ができるようになるという。18〜19年の製品化を目指す。

photo 従来のARヘッドアップディスプレイと3D ARヘッドアップディスプレイの仕組み(コニカミノルタのニュースリリースより)
photo 展示ブースで実施したデモンストレーション
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