なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
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» 2017年01月26日 06時00分 UPDATE

長浜淳之介のトレンドアンテナ:それでも利益率が高い「磯丸水産」のカラクリ (2/2)

[長浜淳之介,ITmedia]
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ランチタイムの海鮮丼で売り上げ倍増

 磯丸水産が高い利益を出せているもう1つの理由は「24時間営業」である。今はファミレスも深夜営業を取りやめる動きが顕著であり、これも外食の趨勢とは逆行しているが、深夜や早朝でも駅前の一等地ならニーズがあるのだ。

 電車に乗り遅れて始発待ちをする人、夜遅くまで勤務する人、夜勤上がりの人――といった人たちが「24時間魚介を楽しめる店は他になかなかない」とやって来る。

 また、店内の清掃、料理の仕込み、魚介の配達などは、深夜から早朝にかけての客が少ない時間帯に行われ、店員がダブつかないシフトを組んでいる。魚介の配達に関しては、夕方にも朝獲れの品が届き、高い鮮度を維持している。

 ランチタイムの海鮮丼は、20種類と豊富なメニューが提供されており、税込630円から海鮮丼が食べられる。一番高いものでも1000円を切っており、刺身の鮮度を考えるとコストパフォーマンスは良好で、ビジネスパーソンからの人気が高い。

 一般的に、居酒屋はお酒を飲ませて利益を取りに行くので、ランチには真剣に取り組んでいない。その問題点に気付き、丼屋として成立させたのが磯丸水産躍進の一因だ。

 昼の2時から夕方5時までのアイドルタイムは、生ビール、ハイボール、チューハイなどが1杯300円と格安。主婦などの女子会や、リタイアしたシニア層の昼飲みニーズに応えている。日本人は勤勉で、オフィスアワーの午前9時〜午後5時までにお酒を飲むのは不謹慎とする風潮が強かったが、団塊世代の退職者が増えるに従い、年金生活者の特権として昼から飲む人が増えてきた。

 また、磯丸水産は居酒屋であると共に海鮮丼屋でもあるので、普通の居酒屋のように絶対にお酒を飲まなければならない雰囲気の店でもない。お酒を飲む人と飲まない人が一緒に居てもいい感じなので主婦にも選ばれているし、高校生の姿も見える。

photo 昼間は海鮮丼屋になる

 このような成功モデルで、夜だけの居酒屋営業を行っていた頃より売り上げが倍増。SFPダイニングは2013年4月にクリエイト・レストランツに買収されて子会社となったが、磯丸水産の出店は加速して、同年9月に41店だったのが、わずか3年余りで現在153店と3倍以上になった。

 家庭で魚をさばかなくなってきた今の日本では、飲食店が魚料理を楽しむメインの場所となりつつある。磯丸水産は最も成功している海鮮専門店として、国民のニーズに応える潜在的な成長力を秘めているのだ。

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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