連載
» 2017年02月03日 07時00分 公開

巨艦メーカーの猛攻 アイホンが生き残る道は消費トレンドから見る企業戦略の読み解き方(2/3 ページ)

[大場美子,ITmedia]
JMR生活総合研究所

生き残り戦略

 先述したように、国内のインターホンの市場規模は約900億円で、用途別には、住宅向けが89%、そのうちテレビ付インターホンが79%、一般用ドアホンが10%、病院・施設等の業務用が11%となっている(下図)

インターホン用途別生産実績推移(出典:インターホン工業界調べ・JMR生活総合研究所加工) インターホン用途別生産実績推移(出典:インターホン工業界調べ・JMR生活総合研究所加工)

 2016年度上期は新設住宅着工件数が増加して、主力であるテレビ付インターホン市場は2015年に引き続き増加傾向で推移している。当面は首都圏を中心に大都市圏における集合住宅の増加と、防犯意識の高まりによって、緩やかな市場成長が期待できそうだ。

 競合は、総合エレクトロニクスメーカーのパナソニックだ。アイホンと2社で9割以上のシェアを持つと推定される。アイホンの2016年3月期の売り上げは427億円(下図)だが、ここ1〜2年で両社の競争が激化、特に戸建新築市場ではパナソニックが優位に立っている。

アイホンの売り上げ、営業利益の推移(出典:アイホン 第59期中間報告書より・JMR生活総合研究所加工) アイホンの売り上げ、営業利益の推移(出典:アイホン 第59期中間報告書より・JMR生活総合研究所加工)

 アイホンの2015年度の売り上げ構成は国内が74%で、そのうち戸建住宅市場が12%、集合住宅市場が40%(図表3)。戸建住宅では同期間に販売台数は増加したものの、価格競争により売上高は対前年96%と苦戦している。一方、集合住宅市場では同103%とし、住宅市場全体では101.4%と、何とか増収を果たした。

 国内集合住宅について、新築では大手ハウスメーカーへの密着営業により、小規模マンションやアパート向けシステム販売が好調。リニューアルでは、既設配線が利用でき、かつ施工性を高めた新しい集合住宅システムの販売が増加。ハウスメーカーや設計事務所、工務店の現場ニーズをくみ取ったシステム型の商品と提案営業による成果と言える。

 かたや、同社の戸建市場での苦戦は、「価格.com」サイトを見ると、その一端を垣間見ることができる。ライバルのパナソニックの圧倒的な品揃えと価格帯の広さ、加えて低価格化である。そこではアイホンの存在感は小さい。住宅のニーズが新築からリニューアルにシフトし、個人主導でインターホンが設置されるようになると、アイホンの強みだったハウスメーカーや設計事務所向けの営業は生きず、消費者対応が求められる。家電流通における消耗戦を少しでも回避するには、ネット対応と最終消費者向けのブランド再構築が必要だろう。

 そのほか、成長市場として期待されるケア市場(病院、高齢者施設や高齢者住宅)でも、着工件数の減少、高齢者施設での競争の激化により売り上げは減少している。成長をけん引しているのは、海外市場、特に北米での伸長である。1970年の米国進出を皮切りに、現在は約70か国以上で販売され、海外比率が約3割までに拡大している。中でも北米市場は115%と2桁成長である。

Copyright© Japan Consumer Marketing Research Institute. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間

    Digital Business Days

    - PR -