アイリスオーヤマはなぜ「家電事業」に参入し、「結果」を出してきたのか水曜インタビュー劇場(家電公演)(1/7 ページ)

» 2016年09月21日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 「アイリスオーヤマ」という社名を聞いて、どんな商品を想像するだろうか。「そーいえば、家にチェストがあったなあ」という人もいれば、「ドッグフードを買っているよ」という人もいるはず。一方で、「うーん、ロゴは赤いハートの形をしていたよね? 買ったことはあるけれど、何を買ったか思い出せない」という人もいるのでは。

 ホームセンターに足を運べば、同社の商品がズラリと並んでいる。それもそのはず。毎週月曜日に「新商品開発会議」を開いていて、この会議から年間1000点以上の商品が生まれているのだ。ジャンルもさまざま。収納ケースもあれば、カイロもあれば、お米もある。扱っていないモノを探すのが難しい中で、ここ数年メキメキチカラをつけてきたジャンルがある。家電だ。

アイリスオーヤマの家電が売れている

 2005年に家電事業に参入し、2009年には「efeel」というブランドで単身世帯向けの家電を発売。2011年以降「2口IHクッキングヒーター」や「銘柄炊きジャー炊飯器」などヒット商品を連発。2013年には、家電事業の開発拠点として「大阪R&Dセンター」を設立し、大手メーカーのパナソニックやシャープなどで活躍してきた家電のエキスパートを積極的に採用しているのだ。

 家電事業の売り上げはどんどん伸びていて、2015年12月期で400億円、2016年12月期の目標は600億円を掲げている。このような話を聞くと、「おおー、スゴいなあ」と思われるかもしれないが、日本を代表する家電メーカーの売り上げと比べると、まだまだ……まだである。H社やS社やP社などが「兆」単位で家電をじゃんじゃか売っているのに対し、アイリスオーヤマはまだ「億」である。しかも、1000億円すら達していない。現在は「巨大な像」と「小さなアリ」くらいの差があるので勝負にならないが、小さなアリの動きが気になるのである。

 日本の家電業界は、海外に押されて苦戦を強いられてきた。リストラだけにとどまらず、海外企業に買収されるケースもあったのに、なぜアイリスオーヤマは家電事業に参入したのか。しかも、厳しい環境の中にもかかわらず、結果を出している。そんな疑問を同社に投げかけてみると、「家電に参入したのは自然な流れ」「商品開発の秘けつはデータに頼らないこと」という答えが返ってきた。どういう意味か。気になったので、同社で家電事業を担当している小林敬一さんと、広報の村越滋幸さんに話を聞いた。

売上推移
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