全国で1万2087店舗を展開する家電量販最大手・ヤマダ電機は、2016年からPepperを販促ツールとして活用するための実証実験を進めている。Pepperが商品の説明やクーポン発券を行うエリアでは、売り上げが導入前の3倍以上(1日当たり)になるなど、着実に効果を発揮しているそうだ。
ヤマダ電機の一宮忠男会長は「Pepperの導入によって、エンゲージメント率(ユーザーが積極的な反応を示す割合)は確実に高まっている。販促・マーケティングのツールとしての有効性を確認できた」と話した。
一方で、比較的高額な商品ついては人間による接客の方が効果が高いことも分かったという。「人間とロボットの得意領域を明確にし、分業していくことで高い生産性を発揮していく」(一宮会長)
今後の展開については「当社が持つ5000万人の会員データをPepperと連携させるほか、Pepperの接客を通じて、年齢、性別、来店目的などのデータをしっかり蓄積・分析していく」(同)としている。
この他にも、ソフトバンクショップ(仙台六丁の目店)では、ユーザーへの会員登録の呼びかけや、新商品、新サービスの説明をPepperに任せたことで、売り上げ面での成果を上げているという。
同店舗のスタッフ、濱田茜子氏は「例えば、Pepper導入後はプリペードカードの「ソフトバンクカード」の成約数が導入前と比べて2.1倍(1日当たり)も高くなった。調子の良いときでは、通常の5倍以上の成約数を記録した日もある」と説明した。
「人間だとどうしても“押し売り感”が出てしまい、心理的ハードルが上がってしまう。Pepperなら警戒されることなく、ユーザーが受け入れてくれる。ロボット活用は単なる代替ではなく、人間以上の成果をあげることができる。今後は、Pepperがより多くの商品を提案できるように活用の用途を広げていきたい」(濱田氏)
ソフトバンクロボティクスの冨澤文秀社長は「Pepperは『サービス』『セールス』『PR』の分野において最も高い効果を発揮している。既に約2000社が導入しており、世界で最も普及しているサービスロボットになった」と話す。
「Pepperは現在、世界中から引き合いがある。Pepperの声のトーン、キャラクターなどを、その国や地域の文化に合わせて改良し、世界にも展開していく。今後も現場のニーズを吸い上げ、サービスロボット分野において世界でトップを走っていきたい」(冨澤社長)
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