そこで思うのは、これらの問題の根幹が「高齢者になる前」にあるのではないかということだ。
若いときからしつけられてきた常識や価値観が、加齢によって制御できなくなって一気に噴出をしている可能性はないか。つまり、「高齢者になったからキレやすくなった」のではなく、「もともとキレやすかった人たちが歳をとったことで感情を抑えきれなくなってきた」のではないのか。
満員電車で肩があたってメンチをきる。舌打ちをする。降車するときに背中を押されたと、ホームでつかみ合いのケンカをして、ダイヤを乱す人もいる。その様子を見て、みんなイライラしながらスマホをいじる。
そしてなによりも、周りを見ると、なにかとつけて「責任者を呼べ!」とキレるおじさんたちがあふれている。こんなストレスフルな社会はない。住宅ローンを抱えて、子どもたちが一人前になるまでは会社をクビになるわけにはいかない、ということでみんな必死に耐える。しかし、もしそのような責任から解放されたら――。
これからの日本は、人類がこれまで経験したことのない「超高齢化社会」になるという。もしかしたら、それは老人たちがいたるところで殴り合いをしている、「北斗の拳」のようなバイオレンスな社会のことなのかもしれない。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで100件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
著書は日本の政治や企業の広報戦略をテーマにした『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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