合同説明会の正しい活用法3月1日就職活動解禁(2/2 ページ)

» 2017年03月07日 09時55分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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2.「聞いてどうするの」質問

 これだけインターネットが発達した今、情報として得られるものは大抵何とかネットで得られます。実際に合説での企業ブースのやりとりでは、どうみてもその会社のWebサイトに書かれているような「見りゃ分かるだろ」質問や、「御社における有機化学専攻の修士のキャリアパスを教えてください」的な、「分かる訳ねーだろ」質問も飛び交います。

 私はコミュニケーションも教えているので、トンチンカンな質問ではあっても、それを聞く姿勢自体を否定したくはありません。それでもどうせ質問するなら、自分のためになるとか、アピールにつながるような質問ができる方が良いに決まっています。説明ブースに行っても何も聞かない学生は少なくなく、ただ座っているだけの学生より、自らコミュニケーションを取ろうとする姿勢ははるかにましです。

 なぜ的外れな質問となるか、コミュニケーションの目的が絞られていないのだと思います。それは合同説明会を通じて達成すべきコミュニケーションが何であるかという設定です。企業情報や採用情報、応募要領等は普通はネットで簡単に得られるはずなので、せっかく時間とエネルギー(&交通費)を割いて会場まで行く以上は、ネットで得られないものを取る必要があります。

3.「答」ではなく「材料」を得る

 その会社が良いか悪いかなど、誰にも分かりません。どれだけ質問しようが、そんな答えは得られるわけがありません。それよりもその会社がどんなビジネスをしているのか、「商社」とか「プラント会社」というような広すぎるくくりではなく、「自ら生産設備を持たずに調達によって顧客ニーズを満たす。設備投資がない分、取引価格が重要」というような、商売の仕組みを理解する必要があります。

 普通は事前にそうした情報を下調べしないと、なかなか学生が持っている知識だけでは限界があります。企業ブースで「貴社はどんな仕事ですか?」と聞くこともできますが、本来なかなか無礼な質問だと思うものの、企業側も分かっているので、特に空いているブースであれば丁寧に教えてくれる可能性があります。

 逆に学生であふれかえっているブースではこうしたコミュニケーションもできず、単に「見りゃ分かるだろ」情報を聞いて帰るだけになる恐れが高いといえます。広告代理店がどんなビジネスなのか分からず、「すてきな広告を作りたい」と志望動機を語るようでは超人気企業に採用される可能性は限りなく低いでしょう。そのようなズレを起こさないためにも、ビジネスの仕組みについて、その社員の方から直接説明を受けられるのは非常に意義があります。

 「グローバルな仕事環境」とは北米やヨーロッパではなく、東南アジア、それもミャンマーやマレーシアやバングラデシュだったり、過酷な自然に囲まれた未開の土地だったり、勝手なイメージと現実のギャップを埋める「材料」を得られるなら、合同説明会は正に大きなリターンが得られる貴重な機会です。

 ぜひ成果が上がるように活用しましょう。 (増沢隆太)

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