ECサイトの再開に合わせ、働き方改革の一環として、社員1人1人にもっと仕事を任せるようにした。
これまで10年以上にわたって、ECサイト事業とB2B事業については、山内氏が統括責任者として切り盛りしてきた。その結果、社員は自分たちで考えて手を動かそうとせず、すべて指示待ちの状態になっていたのである。
「どんどん自分で意思決定できるほうが、仕事にもっとやりがいが持てるはず」
そこで山内氏は権限委譲して、多くの仕事や役割を社員たちに担ってもらうように変えた。そしてすぐに山内氏を頼らずに、社員たちだけで考える習慣をつけさせようと、極力オフィスにいないようにした。もちろん、商品販売管理で必要なエクセルシートなど、最低限業務が回るための仕組みは用意した。
次第に社員に責任感が出てきて、事業の売り上げについても意識するようになった。
一方で、失敗も積極的に奨励した。2016年末にあったエピソードを紹介しよう。
同社のECサイトの売り上げが最も伸びるのが年末年始。この時期に海産物を食べたいというニーズが高まるからだ。ただし、あまりにも注文が殺到するため、在庫を見ながらタイミングを計って注文をストップしなければならない。そのタイミングを1日早めるか、前年よりも1日延ばすかで、売り上げはかなり変動する。
そのさじ加減は経験や読みの良さなどがモノを言うが、2016年末は社員たちが安全策をとり、例年よりも2日早く注文をストップした。当然売り上げは前年を大きく下回った。
ビジネス上では失敗だが、そのことを身を持って体験したことは大きいと山内氏は考える。
「やはり実際に自分たちで考えて、運営してみないと分からないことが多いのです。それまで僕がいくら言い続けていても、結局のところ彼らの経験にはなっていなかったのですから」
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