なぜ従業員80人の会社が、新商品を年100種類も出せるのか水曜インタビュー劇場(アイデア公演)(1/6 ページ)

» 2016年10月19日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

 「上司から『来週までに企画を考えてきてよ』と言われたけれど、いいアイデアなんて浮かばないよ」「新商品を開発したいけれど、ユニークな企画はないかなあ」といった悩みを抱えている人も多いのでは。そんな人に、ご紹介したい企業がある。和歌山県海南市というところに本社を構える「小久保工業所」だ。

 「小久保工業所? 聞いたことがないなあ」という人もいらっしゃると思うので、どのような会社なのか簡単にご紹介しよう。会社は1996年に設立し、生活雑貨を中心に製造している。従業員は76人(2016年9月)で、売り上げは約62億円(2016年9月期)。特筆するのは、新商品の多さである。年間で100種類を超えることもありながら、次々にヒット商品を生み出しているのだ。

 どんな商品があるのか。最大のヒット商品は、洗顔時に石けんやフォームを泡立てる「洗顔用泡立てネット」である。2001年に発売したところ、石けんの泡立ちに不満を抱いていた女性の間で話題に。洗面所で見たことがある、という男性もいるだろう。現在でも月に70〜80万個売れていて、累計1億個以上売れるほどのメガヒット商品に成長した。

通称「洗顔ネット」は2001年12月に発売したところ、たちまち話題に

 2016年3月に発売された「宇宙人ソーセージカッター」は、SNS上で話題になった。お弁当でタコやカニの形をしたウインナーを食べたことがある人も多いだろうが、形を整えるのに手間がかかる。包丁で切れ目を入れて、バランスを……といった作業が発生するわけだが、この商品は包丁いらず。本体にソーセージを固定してフタをかぶせるだけで、宇宙人が完成。実際に使った人から「思わず笑ってしまう」「かわいい」といった声が広がり、ヒット商品の仲間入りに。

SNS上で話題になった「宇宙人ソーセージカッター」

 このほかにもヒット商品はたくさんある。輪ゴムを1本ずつ取ることができる「どこでも輪ゴム」、ハムを花のような形にできる「ハムカッター」、豆腐に絵が浮き出す「豆腐スタンプ」など。まだまだご紹介したい商品はあるが、ここで疑問がひとつ。なぜ小久保工業所は年間に100種類ほどの商品を開発することができるのか。開発するだけではない。なぜ次々にヒット商品を生み出すことができるのか。その秘密を探るために、同社の小久保好章社長に話を聞いた。聞き手は、ITmedia ビジネスオンラインの土肥義則。

ハムを花のような形にできる「ハムカッター」もヒット
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