日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」に迫っていきたい。
歯に衣着せぬ発言で、安倍首相から民進党の辻元清美氏までさまざまな人にダメージを与えてきた籠池夫妻の「爆弾発言」が、ここにきてついに自分自身まで窮地へ追い込んでいる。
辞任をした塚本幼稚園のPTA会長さんが、3月16日の卒園式で例の「愛国小学校」に「3通の契約書」が存在している報道について保護者たちが問いただしたところ、副園長を務める籠池夫人が以下のようなダイナミックな発言をしたとマスコミで証言し始めたのだ。
「鉛筆をなめなめはしたかもしれません。なぜそれがいけないのですか。日本のために頑張っているのだから、それくらいいいのではないですか」
「鉛筆なめなめ」とは一般的に、帳尻を合わすために数字をいじるという意味で使われることが多い。要は「粉飾」だ。
奥さまの発言を素直に受け取れば、籠池前理事長はかなりマズい立場に追いやられてしまう。
ご存じのように、森友学園側が大阪府へ提出をした建築費は7億5600万円、私学助成金をうけるために国へ提出したのは23億8464万円、伊丹空港の騒音対策としてエアコンを設置する助成金をもらうために関西エアポートに提出したのは15億5520万円とかなり大きな開きがある。これが奥さまのおっしゃるとおり「鉛筆なめなめ」で金額をいじったというのなら、補助金を不正に受給した補助金適正化法違反の疑いが濃厚になってしまうのだ。
このあたりの真相は大阪地検特捜部がしっかりと明らかにしてくれることを期待したいが、個人的には籠池夫婦が「鉛筆なめなめ」の常習犯であっても特に驚きはない。なぜかというと、籠池さんが「真に日本国のためになる子どもを育てたい」と国会でも熱く語っていたからだ。
「日本のため」という言葉を持ち出す人に限って、一般人がドン引きするようなダイナミックな「鉛筆なめなめ」に手を染めやすいのは歴史が証明している。
例えば、東芝なんかが分かりやすい。
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