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» 2017年04月12日 06時00分 公開

自動運転よりも“無人運転”が注目される理由各社、実用化に向けて実験加速(3/3 ページ)

[森口将之,ITmedia]
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無人運転が注目を集める理由

 ではなぜ無人運転が注目を集めつつあるのか。その理由の1つは、地方の公共交通が限界に近い状況まで追い込まれているからだ。

 日本では急速な高齢化と過疎化によって、地方の公共交通の利用者がどんどん減っている。しかも高齢者は数100メートルの距離を移動することが辛く、停留所を間引くことも難しい。欧米の地方都市では税金を投入することで公共交通が維持されているが、一部の都市では経費節減が議題に上りつつある。

 バスやタクシー会社の支出の7割は人件費で占められると言われている。人件費の多くは運転手に対するものなので、無人運転車を導入すれば収支面は大幅に楽になるわけだ。廃止や減便、停留所の廃止に傾いていた動きを持ち直すことができる。

 自動運転車は、交通事故防止や快適性向上を主眼として開発されている。しかし無人運転車はそれだけでなく、移動で不自由をしている人々に自由をもたらすことも含まれているのである。

 トラックについても似たようなことが言える。インターネットショッピングで購入した商品の配送が急増したことに加え、送料無料やスピード配送などのサービス競争が運送業者の負担になっている。2017年は業界第1位のヤマト運輸が27年ぶりに料金値上げの方向で検討していることも話題になった。

 バスやタクシーほどではないものの、宅配業者もまた人件費に悩んでいる。この問題解決のために、無人運転が役立つことは言うまでもない。

 既にヤマト運輸は2016年7月、自動運転技術を活用した次世代物流サービスの開発を目指し、DeNAとの間で実証実験に向けた計画作成で合意した。プロジェクト名は「ロボネコヤマト」で、実験期間は2017年3月から1年間を予定し、将来的には無人運転を目指すとしている。

photo 「ロボネコヤマト」

 またSBドライブも同社のWebサイトで、事業内容として旅客物流に関するモビリティサービスの開発・運営と明記しており、バスに続きトラックの実証実験も行っていくものと思われる。

 トラックでは、隊列走行による一部無人運転が実現に向けて動きつつある。主として高速道路で、先頭車両のみを有人運転とし、後続するトラックは無人運転とすることで、ドライバー不足に応えるものである。

 こちらは2016年度に場所の選定、事業モデルの検討、技術開発の推進などを進行しており、2018年度には高速道路での実証実験を行うとしている。

 使用するトラックは、一般道路では有人運転となることから、既存の車両を改造したものとなりそうだが、隊列走行中は運転席に人間は乗らず、全てAIで制御することになるので、これも無人運転に該当する。

 このように無人運転は個人が買って乗る乗用車には当面採用されず、バスやタクシー、トラックといった事業用車から優先して導入される。そのため多くの人にとってはなじみが薄い存在となるかもしれないが、現在の日本社会の状況を考えれば、自動運転よりも必要な技術であることを理解してもらえるだろう。

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