幕が上がった! シンギュラリティ「序章」

AIが働かないと私たちは貧しくなる“いま”が分かるビジネス塾(3/4 ページ)

» 2017年04月13日 06時00分 公開
[加谷珪一ITmedia]

サービス業はAI化する?

 この試算は、厳密には社会のAI化について、何もしなかったケースと積極的にAI化を進めたケースに分けてその影響を調べたものだが、業種ごとのAIによる代替可能性についてもおおよその情報を得ることができる。

 それによると、従事者数の減少がもっとも多いのは製造業となっており、2015年から2030年の間に製造業全体のうち約3割の仕事がAIによって代替されるとしている。工場の無人化・省力化が進むことで、直接製造に携わる労働者の減少が著しい。調達部門については、サプライチェーンのIT化が進むことで、調達管理や出荷、発送に携わる労働者の数が減少するいう。

 非製造業では、卸、小売、金融など役務提供型サービス部門での代替が進むと試算している。この分野には約2000万人の労働者が従事しているが15%近くの仕事が消滅する。このほか、情報サービス部門が約3%、宿泊・飲食などが12%、運送・電気などのインフラ系が15%の減少となっている。

 絶対数、割合ともに卸・小売といった業種が、割合のみに限定すれば宿泊・飲食、インフラなどへの影響が大きいことが分かる。一方で介護・医療などの分野については、従事する労働者の数はむしろ増加すると試算されている。

 この試算で得られたAIへの代替可能性に関する情報と、日銀短観から得られる人手不足の情報を掛け合わせると、最もAI化のニーズが高い業種が見えてくる。

 先ほど解説したように人手不足感が最も強い業種は、建設、宿泊、飲食、小売、情報サービス、運輸であった。一方、AIによる業務の代替が容易な業種は、小売、情報サービス、宿泊、飲食、運送。基本的に両方の業種は大きく重なっていることが分かる。

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