信頼できそうな大人に、子どもはどう接すればいいのか世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)

» 2017年04月20日 07時36分 公開
[山田敏弘ITmedia]

80年代の話が、なぜ蒸し返されているのか

 80年代の話がなぜ今蒸し返されているのかというと、11月16日に、43歳の元プロサッカー選手アンディ・ウッドワードが、ユースチーム時代にコーチだったベネルから性的虐待を受けていたことを実名で告白したからだった。ウッドワードは英メディアに対し、「私の人生は43歳になるまで破滅状態だった。被害者は他にも大勢いる。バリー・ベネルが選り好みした数百人が被害に遭っている可能性がある」と語り、他の被害者たちもトラウマを抱えて暮らしているはずだと主張した。

 この発言を受けて、ほかの被害者も次々と声をあげた。サッカー選手の組合である英プロサッカー選手協会のゴードン・テイラー会長は、少なくとも20人の選手が性的虐待を受けたと訴えていることを明らかにした。例えば、リバプールやトッテナム、マンチェスター・シティでもプレーし、英国代表も務めたポール・スチュワートも、ベンネルと別のコーチから4年間にわたって暴行を受けていたと暴露した。

 また2017年4月にも別のスキャンダルが報じられた。スコットランドの有名クラブであるセルティックの下部組織を60年代に創設して1996年までコーチも務めた男性が、数多くの若い選手に性的虐待をしていたと暴露されている。この件もこれからさらに大きな騒動に発展する可能性がある。

 米国でもオリンピックにからむ大きなスキャンダルが起きている。

 2017年3月28日、体操の元米代表選手たちが、米上院司法委員会で自分たちが受けてきた性的虐待について赤裸々に証言した。

 ジェイミー・ダンシャーは、全米チャンピオンに3度輝き、2000年シドニー五輪では女子団体総合で銅メダリストを獲得している。彼女は、涙ながらにこう証言した。「私の部屋でも、私のベッドでも、何度も、性的に虐待されました。もっとひどいのは、シドニー五輪でも、私は自分の宿舎の部屋で性的に虐待されました」

 彼女は、五輪チームの元チームドクターだったラリー・ナサールから性的虐待を受けたという。しかも2000年にシドニーで行われたオリンピックの大会中にも被害を受けていたとの証言は驚きをもって受け取られた。ナサールから性的虐待を受けた選手は数多く、彼はすでに当局に逮捕されてており、この騒動への対応が遅れたことで米国体操連盟の会長も辞任している。

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