ダイハツは昨年8月にトヨタの完全子会社になった。株式会社であるトヨタが、株式会社であるダイハツの株を100%所有するということである。
ダイハツはトヨタの一部になったのかと言えば、そうではない。そんなことをするメリットがトヨタ側にないからだ。例えば、吸収合併してダイハツという会社を解散してしまえば、旧ダイハツの社員はトヨタの社員になる。となれば、給与から福利厚生まですべてトヨタの水準にそろえる必要がある。規模と収益の大きいトヨタはダイハツより給与や福利厚生のレベルが高いはずで、わざわざ高い側に統一して修正しなくてはならない理由はない。
だからこそトヨタは法人としてダイハツ株を所有しつつ、ダイハツを存続させたのだ。では、トヨタがダイハツを所有する理由は何か。それはリソースの分担である。トヨタは今後リソースの多くを先進国マーケットに集中し、ダイハツは新興国マーケットと国内の軽自動車とコンパクトカーを担う。
国内コンパクトカーに関しては、トヨタとダイハツが重なる部分はあるだろうが、そこはOEM(相手先ブランドによる生産)をうまく使って、1台の開発リソースでより多くの販売機会を得ることも可能である。実際、5月9日に発売されたダイハツの軽自動車、ミラ イースは、トヨタではピクシス エポック、スバルではプレオプラスとして販売されている。グループ内で同じクラスのクルマを互いに作って市場を食い合うよりずっと合理的である。
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