近年、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのテクノロジーが急速に発達を遂げている。こうした中で、企業が成長するためには、テクノロジーを生かしてビジネスを変革すること、いわゆる「デジタルトランスフォーメーション(DX)」を推進することが重要になると考えられている。
では、既にDXに成功している企業には、どのような特徴があるのだろうか。また、これからの時代でビジネスパーソンが活躍するためには、どのようなスキルが求められるのだろうか。
ITmedia ビジネスオンラインでは、DXに関する有識者や専門家たちの意見をシリーズでお伝えしている。今回はガ―トナージャパン リサーチ部門 バイス プレジデントの鈴木雅喜氏と本好宏次氏に、DXの現在と未来について聞いた。
――ガートナージャパンではDXをどのように定義していますか。
鈴木: 当社では、DXのことを「デジタル・ビジネス」と呼んでいます。定義は、「デジタルの世界と物理的な世界の境界を曖昧にすることによって、新たなビジネス・デザインを創造し、『人』『ビジネス』『モノ』の前例のない融合を実現することである」というものです。
単にテクノロジーを活用して既存のビジネスをより良くするだけでなく、ビジネス自体を新しく生み出すことを意味しています。
――デジタル・ビジネスの成功例は、どういったものが挙げられますか。
鈴木: まず考えられるのが、民泊サービスの米Airbnbや、カーシェアリングサービスの米Uberです。両社は使っていない車や、家の空いたスペースなどをデジタル化によって誰でも利用できるようにし、マネタイズもできています。定義で挙げた「人」「ビジネス」「モノ」の3要素を全て満たしています。
本好: 自動車メーカーも、テクノロジーを生かしたビジネスで成果を出し始めています。具体的には、自動車にセンサーなどを搭載して走行距離や運転の癖などを把握し、ドライバーに応じたプランを組み立てる「テレマティクス保険」などが挙げられます。
2016年夏に大流行したゲームアプリ「Pokemon GO(ポケモンGO)」もデジタル・ビジネスの良い例ではないでしょうか。これまではスマートフォンの中に閉じられていたソーシャルゲームが、AR(拡張現実)の技術によって、地図情報と連動。町や公園など、現実世界を歩きながら遊べるゲームに進化したことで人気を集め、課金収入につながっています。
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