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» 2017年06月30日 06時00分 公開

常見陽平のサラリーマン研究所:ビジネス界は「あれはオレがやりました」で溢れている (2/3)

[常見陽平,ITmedia]

本当の功労者は誰か

 そんなふうに意識が高かったころ、こんな事件があった。ビジネス雑誌で、お菓子メーカーに勤める同世代の女性が紹介されていた。地域限定商品などを仕掛けて、売り上げを伸ばした人だった。「こんなスゴい人がいるとは」「すげえ」なんて刺激を受け、それに比べて私の市場価値は……なんて思ったものだった。しかし、それは間違いだった。

 数年後、その企業の幹部だった人と食事をする機会があった。「そういえば、こんな商品を手掛けた女性がいましたね。私、同い年で刺激を受けたんですよ」と話すと、彼は「かーっかっかっか」と笑い、こう言った。

 「常見くん。あれね、実際は僕がやったんだよ。ほら、若い女子が担当しているってことにすれば、メディアに載りやすいからね」と。あぜんとした。

 ただ、この手の話に早く気付いて良かったと思っている。私は33歳のときに単著デビューし、物書き業界に入り、政治家、経営者、学者、エース社員などと会う機会が増えたのだが、こういう「オレオレ詐欺」ならぬ、「アレオレ詐欺」的な案件を多数見聞きしてきた。

 「なんだ、この本、ゴーストライターが書いたのかよ」「真の功労者はこの人なのね」みたいな話をしょっちゅう見てきたわけである。現在私が取材している「働き方改革」関連でも、よく見かける(具体的には言えないが)。要するに、世の中はフェイク野郎だらけである。

 まあ、少しだけフォローすると、会社員の世界において「あれは、俺がやった」と言える人が多く出てくる仕事は「良い仕事」だと言われている。それだけ多くの人が主体的かつ能動的にその仕事に携わった証拠でもあるからだ。

 私がリクルートにいたころ、「リクナビは俺が立ち上げた」「ゼクシィの立ち上げに携わった」「R25は俺が大きくした」みたいな奴をたくさん見かけた(逆に、「R25は俺が潰した」という意識低い系は見たことがない)。いま考えると「いい仕事だったんだな」と思ったりもした。

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