勢いがあるのはどっち? 三軒茶屋VS. 下北沢世田谷区の人気タウン(3/3 ページ)

» 2017年07月17日 08時10分 公開
[小林拓矢ITmedia]
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将来的な「暮らし」を重視するなら三軒茶屋か

 下北沢駅の乗降人員数は小田急線が11.4万人、京王線が11.4万人と、合わせて22.8万人(2015年度)。一方、三軒茶屋駅は田園都市線が13.2万人(2015年度)、もう一路線の世田谷線は駅ごとではなく、世田谷線全駅合わせての乗降人員数のみ発表されているので、三軒茶屋駅の乗降人員数に含めることができない。しかし、世田谷線の乗降人員数は、全駅合わせても約11 万人(2015年度)なので、乗降人員数は下北沢駅が多いと推測される。

 「独身文化の街」下北沢と「生活の街」三軒茶屋。さて、どちらに住むか――。

 下北沢駅は先ほど述べたように、乗り換えることなく渋谷駅、新宿駅へ向かうことができる。しかし、下北沢駅地下化の問題がある。2013年に小田急小田原線の代々木上原駅〜梅ヶ丘駅間の地下化が完成し、これにより「開かずの踏切」であった駅近隣の踏切が撤去され、踏切待ちの交通渋滞が解消された。またエレベーターが新設されたことで小田急線の全駅で係員の介助なく改札口からホームまで段差なく利用できるようになった。このようにメリットを聞くと問題があるようには思えないが、反対の声も多数挙がっている。

 地上駅である京王井の頭線への乗り換えが5分以上かかり、通勤など1分1秒を争う利用者にとって大変不便になった。また、下北沢駅周辺の再開発の見直しを求める運動団体「Save the下北沢」が発足するなど、駅地下化、さらに駅前再開発によって「シモキタらしさ」が失われてきたのも事実である。

 「借りて住みたい街ランキング」(ホームズ)で2017年度は2位という快挙を見せた三軒茶屋に対し、下北沢は昨年度の14位に対し、2017年度は20位圏外となってしまった。それでも、今も若者が夢を持って集う「青春の街」下北沢の返り咲きに期待したい。

 三軒茶屋駅は都心へ向かう路線は東急田園都市線のみだが、地下鉄と相互乗り入れをしていることで利便性を高めている。渋谷へは電車一本、4分で着いてしまうという利便性を持ちながらも、少し歩くと世田谷公園という広大な公園があり、比較的静かな「大人の街」である三軒茶屋駅は、将来を見すえた「暮らし」を重視するには、魅力的な街であると言える。

編集部からのお知らせ:

本記事は、書籍『駅格差 首都圏鉄道駅の知られざる通信簿』(著・首都圏鉄道路線研究会、SBクリエイティブ)の中から一部抜粋し、転載したものです。


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