宅配すし「銀のさら」や宅配釜飯「釜寅」などフードデリバリー事業に強みを持つライドオン・エクスプレス。創業以来25年連続で増収増益を続ける業界屈指の優良企業だ(2017年3月期の売上高は179億円、経常利益は11億円)。
特に主力事業である銀のさらは、宅配すし市場において45%を超えるシェアを獲得している。銀のさらは後発での参入だったが、他社の追随を許さないスピードで拡大。現在は店舗を約400店にまで増やした。
成長の要因について同社の江見朗社長は「技術で他社と差別化を図ったわけではない」と強調する。“怒らない経営”を信条に人材育成を行い、その結果が事業の飛躍をもたらしているのだという。
その「怒らない経営」は同社の成長にいかに寄与したのか――。江見社長に話を聞いた。
――宅配すしに参入する以前は、サンドイッチ店を経営していたそうですね。その当時の話から始めたいのですが、まずは起業したきっかけについてお伺いしてもよろしいでしょうか。
江見: 私は高校卒業後に米国に渡りました。もともと米国には憧れがあり、そのまま永住するつもりで日本人が経営するすし屋で働いていたんです。しかし長男だったこともあり、家の事情でやむなく帰国することになりました。人に雇われるのが嫌だったので、自分でサンドイッチ店を開業しました。
サンドイッチ店を始めた理由は、当時の米国でサンドイッチ業態が急速に伸びていたのを一消費者として目撃していたからです。まだブームが上陸していない日本であればチャンスがあるのではないかと思いました。ただ、順調と言えるまでに拡大せず、打開策として、移動販売をはじめたのをきっかけにデリバリービジネスに事業方針を転換。これまでの経験も生かせるすし業界を狙い、「銀のさら」を始めました。
――宅配すしのビジネスに魅力を感じたのはなぜでしょうか。
江見: 宅配すしの業態自体は既に何社かありましたが、各社が苦戦しているのを見て、勝てるかもしれないと感じました。
既存の宅配すしの欠点は、低品質の味。すし作りで大切になるのは、ネタの鮮度が良くてシャリがしっかりと炊けていること。あとはネタとシャリのバランス。しかし、当時の宅配すしはそうした当たり前のこともできていませんでした。既存の宅配すしのレベルを見る限り、自分ならもっと優れたものを提供できる自信がありました。
私は、鮮度の高いすしを提供するために「高電場解凍機」という冷凍したネタを鮮度良く解凍する機械を導入しました。
雑誌でたまたま見つけた機械だったのですが、「これはきっと拡大への鍵になるだろう」と考え、「300台購入するから、宅配すしに限っては、うちだけが使えるようにしてほしい」と販売会社の社長に直接電話してお願いしたんです。承諾をもらい、独占契約権を取得。もちろん今でも使用しています。
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