昨今大きな話題を呼んだビットコインの分裂危機だが、業界では何が起きていたのだろうか。bitFlyer加納社長に見解を聞いた。
――「ビットコイン」の分裂危機が生じた経緯は。
加納社長: この問題は、利用者増などの影響で15年頃からビットコインの決済スピードが低下したことに端を発している。これにより、顧客が決済を高速化する際に必要な特別手数料が一円単位から数百円単位まで高騰した。
「決済の速さ」「取引手数料の安さ」といったビットコイン決済のメリットが失われることを懸念したブロックチェーン企業は、取引記録群「ブロック」のサイズを小さくして決済の高速化を図ろうとする“スモールブロック派”と、ブロックのサイズを大きくして一度に大量の取引データを処理することで決済の高速化を目指す“ラージブロック派”の2派に分かれて議論を行ってきた。
この状況を踏まえ、米投資会社Digital Currency Groupのバリー・シルバートCEOが両派閥の意見を取り入れ、ブロックサイズの上限を2MBとした新規格「Segwit 2X」を提案。約98%のブロックチェーン企業が賛同・導入した。そのため、懸念されていたブロックチェーンの運用に支障を来すほどの分岐は発生しなかった。
――では、8月1日に誕生した新通貨「ビットコイン キャッシュ」はどのような特徴があるのか。
加納社長: ビットコイン キャッシュは、Segwit 2Xに賛同しなかった、ラージブロック派に属する一部のマイナー(ブロックの生成を行う組織や個人)が独自に立ち上げた通貨で、ブロックサイズの上限が8MBと大きい点が特徴だ。ただ、発行から数日が経過した現在、シェアは2〜3%程度にとどまっており、大きな支持を得るには至っていない。
――bitFlyerはビットコイン キャッシュにどう対応していくのか。
加納社長: 顧客利便性を考慮し、当社は既にビットコイン キャッシュを発行。取引にも対応している。
――bitFlyerの今後の展望は。
加納社長: 従来型のビットコインの普及に注力していく。今後はより多くのユーザーにビットコイン決済をご利用いただけるよう、コンビニへの導入なども検討・交渉していきたい。
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