日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
「情報操作」というと日本ではネガティブなイメージが強いが、ビジネスにおいて自社の商品やサービスの優位性を顧客や社会に伝えるのは当然だ。裏を返せばヒットしている商品や成功している企業は「スピン」がうまく機能をしている、と言えるのかもしれない。
そこで、本連載では私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」に迫っていきたい。
この季節、野山でアウトドアを楽しむ方も多いが、そこで心配なのが「熊」の存在ではないだろうか。
ニュースでもちょこちょこ報じられているように、熊に襲われる被害が最近増えている。環境省によると、1980〜90年代の熊による死傷者数は年間20〜40人で横ばいが続いていたが、2000年代に入ると年間50人以上に跳ね上がり、時には100人超という年もあるという。
その襲われ方もかなりヤバくなっている。
2016年、秋田県鹿角市で起きた男女4人が殺害され、3人が重症を負った痛ましい事件では、3〜4頭のツキノワグマが人を食べたのではないか、と専門家はみている。もともと熊は臆病な動物で、人間の気配を察すると自ら去っていくくらいだが、一方で非常に高い学習能力を持っているため、一度でも「人間の味」を知ってしまうと、人間を「獲物」とみてしまうという。
つまり、キャンプ場や登山道で大自然を満喫していたら、「殺人熊」にバッタリなんて可能性もゼロではないのだ。
熊が出て危ないと警告されるような場所にズカズカと足を踏み入れるからそういう痛い目に遭うのだ、と自己責任論を唱える方もいらっしゃるかもしれないが、近年では山深い場所だけではなく、住宅地や人の多い観光地のような場所にまで熊が出没している。
例えば、2009年には数百人の登山客であふれる乗鞍岳の畳平バスターミナルに突如現れた熊は、恐怖で騒ぐ登山客や巨大なバスに遭遇してパニック状態に陥り、9人の行楽客やバスターミナルの従業員を無差別に次々と襲った。
そう聞くと、「好き勝手に自然を破壊して熊の居場所を奪った罰だ」なんて感じで「もののけ姫」的な戒めを口にする方もいるが、そういう単純な自然保護論を振りかざしているだけでは、100年経ってもこの問題は解決しない。
クマ被害が近年増えているのは、我々日本人が自然の開発から無責任に撤退してしまったことが大きいからだ。
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