なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
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» 2017年09月05日 08時15分 公開

スピン経済の歩き方:「ウィルキンソン」がバカ売れしている本当の理由 (2/5)

[窪田順生,ITmedia]

ウィルキンソンのブランド価値を押し上げた

 では、ウィルキンソンの価値を維持しつつ、世に普及させるためになにがあるかと考えると、「炭酸水市場全体の底上げ」というやり方が浮かび上がる。

 スーパーやコンビニでミネラルウオーターと変わらぬほど安い炭酸水が溢れかえれば、これまで炭酸水を飲んだことがない者も手を伸ばす。そうなると、「炭酸水好き」になった者は「次はちゃんとしたブランドのを飲むか」となる。そこで、コンビニやスーパーの棚を見渡してみると、「日本生まれの100年タンサン」なんてテレビCMをやっているおしゃれなパッケージの炭酸水が目に飛び込めば、そちらへわっと流れるのは容易に想像できよう。

 つまり、ウィルキンソンの躍進は、一部の愛好家のみに支持されていた炭酸水がPBによって市場が拡大した「追い風」の影響も否めないのである。

 「そんなのはお前の妄想だろ、フェイクニュースを勝手に流すな!」という怒声があちこちから飛んできそうだが、これは筆者がテキトーに思いついた話ではなく、アサヒ飲料の方がそうおっしゃっている。2015年3月まで経営をなさっていた本山和夫前社長だ。以下、『日経MJ』(2013年6月24日)のインタビューを引用させていただく。

ーープライベートブランド(PB=自主企画)についての考え方はどうですか。

「まずはナショナルブランド(NB)をしっかりやっていくというのが基本です。ただNBの価値向上につながるものであれば検討します。例えばセブン&アイ・ホールディングスとは『炭酸水』や『凍頂烏龍茶』をやっています。炭酸水はPBで火が付きNBの『ウィルキンソン』の活性化につながりました。PBをうまく活用できた好例です」

 要は、PBという「大衆ライン」をつくることで、ウィルキンソンというナショナルブランドの価値を押し上げた、というわけだ。

「大衆ライン」をつくることで、ウィルキンソンの価値を上げた(出典:ウィルキンソンのWebサイト)

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