物流事業者の大宝運輸(名古屋市)が9月5日、4日に厚生労働省 愛知労働局から労働環境を改善するよう是正指導を受けた件についてコメントを発表した。「指導内容を真摯に受け止める。代表取締役社長をトップとするプロジェクトチームを発足させ、改善策を展開する」という。
今後、(1)一部取引の解除、(2)荷待ち時間の短縮、(3)採用活動の強化、(4)ドライバー向けの教育――などを推進していく方針だ。
大宝運輸では、4カ所の事業所に属する計84人のドライバーに“過労死ライン”とされる月80時間を超える長時間労働を課していた。うち74人の1カ月当たりの残業時間は月100時間を超えており、最長で月197時間に及んでいた。
状況を踏まえ、厚労省 愛知労働局は同社に対し、全事業所の状況を再度点検した上で、全社的な改善措置をとるよう指導。4日付で社名を公表していた。
大宝運輸によると、「本件に関する未払い残業代はなく、2018年3月期の業績予想に影響はない」という。
厚労省は2015年から、従業員に長時間労働を課した企業名の公表を開始。当初は、「年間に3事業所で、月100時間超の長時間労働を行った従業員が10人を超えた場合」などの条件を定めていたが、同年末に電通で新入社員が過労自殺した問題を踏まえて厳格化。17年1月から、「2事業所で月80時間超の長時間労働を課しており、本社を指導後に是正されない場合」などに基準を拡大していた。
厚労省が基準改定後に社名を公表するのは初めてで、通算2件目。
また、厚労省は17年5月から、労働基準法に違反した国内企業のリストを公開。“ブラック企業リスト”として話題を呼んでいるが、同省の担当者は「次回の更新で、大宝運輸は確実にリストに加わる」(監督課)と話している。
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