なぜ小池百合子は「仲間」との写真撮影に「3万円」を徴収したのかスピン経済の歩き方(3/5 ページ)

» 2017年10月03日 07時43分 公開
[窪田順生ITmedia]

「3万円の撮影会」を開催しながら、値踏みしていたのでは

 事実、小池さんは結党後、東京都庁での記者会見で、民進党の資金と組織力を頼っているのではないかという指摘に対して、以下のように答えた。

 「お金欲しさにうんぬんと批判される方、それは全くの間違いでございます。今回、しがらみのない政治をやっていくためには、お金のしがらみからつくってはいけません。そういった意味で、今回、希望の党で公認候補として戦っていただく方は、自前の努力で出馬、そして選挙戦を戦ってもらうということを条件としています」

 「3万円の撮影会」を催しながら、小池さんはひとりひとりの候補者に対して、自分の知名度にどこまで頼っているのか、「自前の努力」がどこまできるのかを値踏みしていたのではないか。

 候補者の政治信条の「踏み絵」として、「安全保障」や「憲法改正」を突きつけたように、民進党から流れてくる海のものとも山のもとも知れぬ候補者たちの実力をはかる目安として、「撮影料3万円」を突きつけたのではないのか。

 いやいや、いくら「策士」として知られる小池さんだって、写真撮影ごときにそこまで深い意味はないだろ、と思う方も多いかもしれない。ただ、小池さんの政治家としてのキャリアを振り返ってみれば、新党に群がる「ダメ候補者」の見極めなどやって当然というような印象もある。

 ご存じのように、小池さんは1992年にキャスターから政界へ転身後、「渡り鳥」なんて言われるほど新党を渡り歩いているのだが、「党首や政党の人気に便乗するダメ候補者」が登場したのは、まさにそんな「新党ブーム」の時代だった。

 小池さんが小沢一郎さん率いる自由党へ移って、広報委員として「剛腕・小沢一郎」というブランディングにいそしんでいた1998年の参院選に、今では当たり前となった「ダメ候補者」の萌芽がみてとれる。

 『「候補者の大きな顔写真と名前」が定番の選挙ポスターに交じり、党首の顔写真とげき文を添えたポスターが公営掲示板に並んでいる。知名度不足に悩む新人陣営が「党首への期待を票に結びつけよう」とひねり出した苦肉の策。たすきに党首の名前を入れる候補者まで現れた』(読売新聞 1998年6月29日)

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