なぜ小池百合子は「仲間」との写真撮影に「3万円」を徴収したのかスピン経済の歩き方(4/5 ページ)

» 2017年10月03日 07時43分 公開
[窪田順生ITmedia]

「日本初の女性総理」は実現するのか

 2000年代に入ると自民党でもこの手法はよく使われるようになったが、当時はまだ「野党」の専売特許だった。最近の若い人からすると信じられないが、結党したばかりの民主党では菅直人代表が今の小池さんばりの人気者で、民主党の知名度ゼロ候補はみんなポスターに「菅直人とともに」、チラシには「菅さんの秘蔵っ子」という文言を入れた。

 「おたかさん」フィーバーで勢いのあった社会党で、土井たか子党首とのツーショット写真と「私が選んだ人」「よろしくたのんます」とポスターにのるようになったのもこの時期だ。

 小池さんのいた自由党もご多分にもれず、候補者のポスターは、小沢一郎さんとのツーショット写真があふれかえった。こういう「ダメ候補者フィーバー」を身をもって味わった小池さんが過去の教訓からなにかしらのアクションをとるのは当然といえよう。

 安倍晋三首相が「希望の党」の結党を受けて、街頭演説で「新党ブーム」と重ねたように、小池さんがやろうとしていることは、1990年代にあった「新党ブーム」の再現である可能性が高い。

 少数政党でもキャスティングボードさえ握れば、細川護煕さんのように総理になれるということを、誰よりもまじかで見ていた小池さんからすれば、「日本初の女性総理」という野望を達成できる、もっとも現実的なシナリオはこれしかない。

 そういう「新党ブーム」の再現をしようと小池さんが考えた時、あの時代に生まれた「党首の人気に便乗して国政にもぐりこむダメ議員」のなかであまりにもヒドいのをリストラ対象者にしていく、というのはごくごく自然な政治判断といえる。

 先ほど少し触れたが、安倍首相は街頭演説で「希望の党」をけん制するため、「新党ブームによって日本に混乱と低迷が訪れた」と言って物議を醸した。

 混乱や低迷はよく分からないが、ひとつだけ断言できるのは、新党ブームによって、日本の有権者の政治に対する関心はガクンと落ちたということだ。

 この時代に生まれた「党首の人気に便乗する」という戦い方が広まったことで、もともとたいして興味のなかった政策などさらに関心がなくなる。知名度ゼロでも党首の人気で当選するので、議会には活動も政治信条もよく分からないマイナー政治家があふれかえる。そんなマイナー感のある人たちが駅前で、どこかで聞いたことのあるような政策を訴えても心に刺さるわけがない。そういう負のスパイラルのなかで、有権者たちの政治に対する関心が急速にしぼんでいく、というのは容易に想像できよう。

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