土肥: 傘「ポキッと折れるんです」が売れているようですね。どのような特徴があるのでしょうか。
真柄: 最大の特徴は、傘の骨にヒンジ(ちょうつがい)が備えられていて、内側から強い風を受けるとヒンジの部分が“ポキッと折れて”、風圧に耐えることができること。風速15メートル以上の風にあおられるとヒンジが折れるのですが、折れた傘は再度閉じて開くことによって、元通りになるんです。
土肥: コンビニなどで販売しているビニール傘は、強風を受けるとひっくり返って、いわゆる“おちょこ”になることがある。そうなると、風圧を受けてしまうので、体ごともっていかれるかもしれません。ところが、「ポキッと」は強風が吹いていると、あえて折れる構造になっているわけですね。
それにしても長寿乃里は石けんなどを販売しているんですよね。傘をつくるノウハウはないと思うのですが、「ポキッと」の構造はイチから開発したのでしょうか。
真柄: いえ、とある会社がこの構造を開発していまして、当社は使用している形になります。傘のプロトタイプは存在していたのですが、実際に販売するうえで、さまざまな点を修正する必要がありました。例えば、試作段階のモノは、さわやかに感じる風でもポキンと折れていました。
土肥: ものすごく安全だったわけですね。
真柄: はい。それだとちょっと使い勝手が悪いので、風速15メートル以上で折れるように設計を見直しました。また、内側から強い風を受けたとき、「ポキッと」は部分的に反転するんですよね。一部の骨は真っすぐではなくて斜めに反転するので、ヒンジの部分に斜めからのチカラが加わる。というわけで、ヒンジには粘りと強度が求められました。
土肥: その問題を解決するために、どのようなことを行ったのでしょうか。
傘の内側に強風を受けると、親骨がポキンと折れる構造になっている
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