「体験」はウリになるのか? ブランドがホテルに参入する意味来週話題になるハナシ(1/4 ページ)

» 2017年10月27日 08時10分 公開
[藤井薫ITmedia]

 ネット通販がどんどん便利になるにつれ、店舗を訪れる客が減っているという。

 客足が遠のくことで、これまで店舗数を増やしてビジネスを拡大してきた多くのブランドは、採算の取れない店舗を閉鎖するなど、ビジネスの見直しを迫られている。ただ店舗は、客が実際に商品を手に取ったり、直接ブランドの世界観に触れられる貴重な場所だ。その店舗に足を運んでもらえないとなると、客との有意義な関係を築くことは非常に難しくなる。

 最近ではAI(人工知能)などテクノロジーの導入により、オンライン上でより効率的な顧客サービスを提供することも可能になっている。それでも、やはり店舗で得られる体験とは別物だ。

 そこでいま、ブランドの新しい売り方として注目されているのが、「ブランド体験」を最大限に提供できるホテルビジネスへの参入だ。

 ブランドのホテルビジネスへの参入は、今に始まった新しいトレンドではない。すでに、ブルガリ、バカラ、ヴェルサーチ、フェンディ、フェラガモなどの高級ブランドがホテルビジネスを展開している。フェラガモに至っては、50年前からラグジュアリーホテルを展開している業界の先駆けだ。ただし、フェラガモというブランド名をホテルの名称に使用していないので、知る人ぞ知るラグジュアリーホテルとなっている。

フェラガモが手掛ける「Hotel Lungarno(ホテル ルンガルノ)」

 こうした高級ブランドによるホテルビジネスへの参入は、ラグジュアリーホテルの顧客層と高級ブランドの顧客層をマッチングさせるのが目的だった。しかし、いま注目されている動きは、目的が少し異なる。ブランドの商品や世界観を五感に訴える「体験型ショールーム」として、ホテルビジネスへの期待が高まっているのだ。

 その象徴的な例が、ホテルビジネスに参入するインテリアブランド「West Elm(ウエスト・エルム)」だ。ニューヨーク州ブルックリンに本社を構え、モダンでデザイン性のあるインテリアグッズを手ごろな価格で販売し、急成長しているブランドだ。

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