一方の鳥メロは、わたみん家からの転換を進めており、ミライザカと同様、従来店舗を居抜きで使い、看板と料理を別物に変更している。
集客のエンジンは前述したように、生ビール「アサヒスーパードライ 中生」199円が効いている。ハイボールや酎ハイも299円と安価だ。
メインの商品「清流若どりのモモ一本焼」(999円)は、ミライザカと共通の素材を使い、唐揚をモモ焼に変えただけだ。値段も同じ。焼鳥は7本盛で999円、串揚はおまかせ8本で999円。こちらも柱となる商品が明確で、オペレーションが簡素化され、働く側は楽になっている。
そもそも、ワタミが「ブラック企業」と言われてしまった要因は、総合居酒屋が時代に合わなくなって売り上げが落ち、利益を出そうと人件費を削って少人数で運営しようとしたからだ。また、利益を出すために質を落とした商品を接客でカバーしなければと、社員教育を厳しくし過ぎてしまった。
時代を捕らえたヒット業態が出れば好転に向かう。このままミライザカ、鳥メロが上り坂を上り抜けて働き方改革も進み、負のイメージを変えられる日はくるのだろうか。
筆者的には、「清流若どり」一本に料理の売り上げを依存しているので、鳥インフルエンザのような鳥獣が感染する疫病が、リスク要因として気になるが……。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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