「友人の紹介」で転職するリスクとは?常見陽平のサラリーマン研究所(1/2 ページ)

» 2017年11月24日 06時00分 公開
[常見陽平ITmedia]

 「俺んとこ来ないか?」

 このようなことを言われた経験がある人もいるだろう。企業にとって、中途採用の手段は求人広告による自由応募や、人材紹介会社の活用だけではない。相手に直接アプローチする「ダイレクトソーシング」というのも立派な手段の1つである。

 簡単に言うと「企業が自社の採用要件に合った候補者を直接呼び込む採用手法」である。応募を待つのではなく、狩りに行くのである。

 もっとも、新しいコンセプトが常にそうであるように、この言葉の定義や具体的な手法もまだ固まっていない。LinkedInやFacebookなどで候補者を探し、アプローチする手法も広義ではダイレクトソーシングと呼ばれていることもある。さらに、人材会社が用意したデータベースから探す手法も、同じように呼ばれてたりする。

 社員など関係者が、人を紹介するリファラル採用もその1つだ。まさに、外資系企業やベンチャー企業などでよく見られる手法である。入社した場合、紹介者に数十万円のボーナスを出す企業もある。

photo 人材確保のため「ダイレクトソーシング」を活用する企業も多い

 これらの手法が注目されるのは、売り手市場化、さらには若年層の減少による「採用氷河期」化が進み、人材の争奪戦が起こっているからである。特にWebエンジニアなど一部の職種は人材獲得競争が激化している。紹介料を相場よりも高くするから、なんとか優秀な人を紹介しろと人材紹介会社に迫る企業もあるほどだ。故に、攻めの姿勢で人材獲得に動かなくてはならなくなっている。

 「潜在層」へのアプローチができる点も、この手法の利点だ。転職活動をしている人が優秀だとは限らない。人材ビジネスの永遠の課題なのだが、人材紹介などでは、データベースに長年登録しているものの、誰からもアプローチがない「売れ残り層」がいたりする。つまり、アプローチしても欲しい人がいない状態だ。それよりも転職を積極的に考えていない層にこそ、欲しい人材がいるのではないかと考えているわけだ。

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