東北の起業家を応援するイベント「SENDAI for Startups!」――。震災からの復興と経済発展のために、東北から多くの起業家を輩出しようという目的で2013年から毎年、仙台市で開催されている。
1000人規模の起業家や投資家が集結しており、地方で開催されるスタートアップ系のイベントとしては最大級となっている。
このイベントを仕掛けたのがMOKOTOという組織だ。MAKOTOは東北の起業家を支援するために、主に投資事業や交流イベント事業などを展開している。
総務省の調査によると、東北地方では震災を機に事業を起こす人が増え、都道府県の開業率ランキング(2017年度)では宮城県が2位、福島県が4位と上位を占めるようになった。起業の機運が高まってきている東北で、その起業家たちをサポートしている組織の1つがMAKOTOである。
MAKOTOの竹井智宏代表は、東北を盛り上げていくために独自の投資法を考案し、11年に勤めていたベンチャーキャピタル(VC)を辞めて独立した。なぜVCを辞める必要があったのか。また、どのような方法で東北地方の起業家をサポートしているのだろうか。
VCで投資事業に従事していた竹井氏が独立するきっかけとなったのが、11年の東日本大震災だったという。
「復興において、新しい産業や雇用を生み出す投資の役割は大きいと感じました。一方で、VCのビジネスモデルでは十分に貢献できない現実もありました」
VCのビジネスモデルは、成長が見込める企業に出資して、その企業が株式上場を果たすことによってキャピタルゲイン(保有している株式などの資産を売却することによって得られる利益)を得るというものだ。つまりVCは、たとえ被災地や東北地方に住む人たちにとって有益な事業を展開する企業があったとしても、上場やM&Aで売却できるほど成長が見込める事業にしか出資できないのだ。
「被災地の新興企業で、上場を目指せるような会社はほとんどありません。また、全ての起業家が上場を目指しているわけでもありません。それでも、その地域にとって必要な会社はたくさんあるわけです」
「また、東北人の特徴として、金もうけよりも人や地域の役に立ちたいという人が多いんです。だから社会性の高い事業も多い。成長性を重視するVCのビジネスモデルでは、企業のサポートに限界があると感じました」
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