沖縄の渋滞緩和に一役、自動走行バスにみる地方活性化の可能性クルマ社会に朗報?(3/6 ページ)

» 2018年01月31日 06時30分 公開
[翁長潤ITmedia]

ゆっくりだが、確実な走行

 筆者も実際に試乗させてもらった。出発地点から自動的にアクセルが踏まれ、運転手がハンドルを握ることなく走行を開始した。最高速度は40キロとのことだが、今回は常時30キロ前後の速度で走行。体感としては実際の速度よりもゆっくり走行していたが、正確かつ確実に走行しているような印象だった。

自動運転の運転席。走行中、手動で運転(オーバーライド)は6回程度だった 自動運転の運転席。走行中、手動で運転(オーバーライド)は6回程度だった

 実験車両では、GPSによって前方車両の速度と相対距離を測定し、前方車両が止まると自動的にブレーキを踏んで停止する。ただし、現段階では信号機手前で先頭になった場合のみ、手動(オーバーライド)でブレーキを踏む必要がある。

 走行コースには路肩に車両が停車するエリアもあったが、その場合、右側に40センチオフセットするように制御。ただし、車線をはみ出さないように工夫されており、路上駐車を自動的に回避していた。

 ただ、障害物の検知の精度については、まだ改善の余地があるようだ。終点の宜野湾アリーナには人やクルマに慣れた野生の猫が多く、通行路をふさぐケースも見られた。現段階では猫などの小さな動物は障害物として検知できず、オーバーライドで対応する必要があるという。また、夜間の試験走行やスコールのような豪雨でも実施しているが、現段階ではGPS認識率は低くなるという。

 バス停での正着制御では、30メートルまで近づいたら徐々に減速して自動的にウィンカーを出して停止するように制御されていた。今回の実験では、準天頂衛星を用いる方式と磁気マーカーを用いる方式を併用していた。

バス停正着の様子 バス停正着の様子

 遠隔から運転状況を把握するために車両の位置情報や車両情報、社内外からの映像、音を確認できる運行管理システムを設置。車内の状況は、車内に設置されたセンサーとAIで見守っている。AIでは「立っている/座っている/移動している」などの人間の状態の画像を学習させ、認識率94%で車内の状況を監視している。また、管制センターで管制官が車両への指示を送信できる。

車内の人間の状態の認識。乗客が座っている(sit)であることを認識している 車内の人間の状態の認識。乗客が座っている(sit)であることを認識している

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