EV普及の鍵、充電規格戦争を制するのはどこか鍵は充電スピード(4/4 ページ)

» 2018年02月02日 06時00分 公開
[ロイター]
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<転機は訪れるのか>

今のところ、欧州と米国では引き続きCCS、スーパーチャージャー、チャデモの規格導入が続いており、中国ではGB/Tが推進されている。プラグ形式をめぐる戦いで何が勝ち残るのか、判断は時期尚早のようだ。中国市場を断念する自動車メーカーはないだけに、なおさらだ。

例えばテスラは昨年10月、同社の「モデルS」と「モデルX」について、中国向けにGB/T規格に適合する2つめの充電ポートを追加するための変更を加えていると発表した。

競合他社のほとんどが、EV販売台数について野心的な目標を掲げる中国に向けて、自社製品をGB/T規格に対応させている。ただし一部の業界関係者は、中国がいずれかの時点で、違う規格を採用してくれることを今も期待している。

テスラは今のところ独自の充電ネットワーク構築にこだわっているものの、チャデモ、CharINのイニシアチブにも参画している。また、北米や日本のテスラ車オーナーがチャデモ規格の充電ステーションを利用可能にするアダプターも販売している。

どこかの時点で競合する充電規格への合流を検討するかとの問いに対して、テスラはコメントを拒否しているが、アナリストによれば、そのような動きがあれば、プラグの覇権を巡る争いに転機が訪れる可能性があるという。

テスラの広報担当者は「テスラは以前からずっと、顧客のために最初から充電インフラを用意しておくことを非常に重要だと考えていた」と語り、EV充電へのあらゆる投資を歓迎していると付け加えた。

欧州におけるチャデモ陣営の代表者トモコ・ブレック氏は、EV産業がまだ初期段階にある以上、どの規格が優位に立つかという議論は無益であり、メーカー各社は自社製EV開発に尽力すべきだと語る。

また、バッテリー駆動のEV充電に関しては、今後も常に複数の方法が並立するとの見方もある。

コンサルタント会社フロスト&サリバンの主任アナリスト、ニコラス・メイヤン氏は、「化石燃料を使う車なら、世界のどこに行っても燃料を補給できる。これが理想的なあり方だ」と言う。「だが、EVに関しては、そんな状況にはならないだろう」

(翻訳:エァクレーレン)

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