私たちの心は「スマホ」に乗っ取られたのか世界を読み解くニュース・サロン(4/4 ページ)

» 2018年02月08日 07時31分 公開
[山田敏弘ITmedia]
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デジタル機器から逃れられない世界

 IT企業は、こうした取り組みに対して責任感をもつべきだという意見もある。その意見は分からなくはない。というのも、今の世の中、IT企業がありとあらゆる方法を使って、私たちユーザーを必死を取り込もうとしており、私たちの周辺はデジタル機器とサービスにあふれている。もちろん成人になれば拒否する自由もあるし、デジタル機器のない生活を送る選択もできる。

 ただ判断力のない子どもたちが相手なら、彼らにもユーザーがアディクトする責任の一端がある。甘いお菓子を食べるよう散々宣伝しておいて、子どもの健康への影響は「知ったこっちゃない」という態度は今の世の中では通らない。

 私たちはもうデジタル機器から逃れられない世界に生きている。そしてそれらが悪影響になりうるなら、その影響に真剣に向き合って対策を取る必要がある。特に分別がない子どもが相手なら、なおさらだろう。

筆者プロフィール:

山田敏弘

 元MITフェロー、ジャーナリスト・ノンフィクション作家。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト・フェローを経てフリーに。

 国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。最近はテレビ・ラジオにも出演し、講演や大学での講義なども行っている。


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