韓国のライバルにも、KYな質問にも。小平奈緒の“神対応”に、称賛の声赤坂8丁目発 スポーツ246(1/3 ページ)

» 2018年02月23日 08時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

 まさに“神対応”だった。

 平昌冬期五輪のスピードスケート女子500メートルで日本女子初となった金メダリスト、小平奈緒選手は類まれなスケーティング能力もさることながら、1人の人間としてもキラリと光り輝いていた。

 勝敗が決した後、金メダリストの小平は2014年ソチ大会に続く五輪3連覇に挑んだものの夢破れた地元韓国の李相花(イ・サンファ)選手が韓国国旗を手に泣き崩れた際、自ら歩み寄って抱擁した。母国開催の五輪で錦を飾れず、期待に応えられなかったことで李は応援してくれた国民に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになっていたのだろう。号泣しながらも謝罪の意思を示す李に小平は声をかけながら、優しく手を背中に回して彼女を包み込んだ。

 実に感動的だった。安倍晋三首相も小平に金メダル獲得を電話で「本当に素晴らしい光景だった」と祝福したほど。これまでも五輪では人々の心を胸打つ名場面が多々見られたが、何かと因縁深く摩擦が消えなかった日韓両国の間に「真の友好」を印象付けるシーンが生まれたのは初めてかもしれない。日韓関係には過敏になりがちなネットユーザーたちでさえも、その大半が賞賛の嵐を送っていた。いや、この2人の友情にケチをつける人がいるとしたら首を傾げざるを得ない。

 ちなみに小平と李は長年に渡ってライバル関係にあり、そして戦いを通じて両者の間には友情も芽生えていた。しかしながら地元・韓国メディアの報道にもあるように、母国で「氷速女帝」と呼ばれてカリスマ的な人気を誇る李はここ最近、小平に勝てない日々が続くようになると、あえてやや距離を置くようになっていたという。

 その背景にはスポーツの世界においても常に対日で感情的になる韓国の国民がライバルとの接近を許さなくなったことがあったのは容易に想像がつく。李の母国、韓国では特にメディアの間から自身のライバルとして、また怨敵(おんてき)としてみなされていた日本人の小平と仲良く話すなど“もってのほか”というムードがつくり出され、李はいわば衆人環視のような状況下において親友とどうしても距離を置かざるを得なくなっていた。

小平奈緒の神対応が輝いていた
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