イチローが戻ってきても、素直に「ハッピー」と言えない人の論理赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2018年03月09日 11時00分 公開
[臼北信行ITmedia]

非常に厳しい態度を貫いていた

3月7日(日本時間8日)に、米アリゾナ州ピオリアのキャンプ地で入団会見を行う(出典:シアトル・マリナーズのFacebookページ)

 マリナーズ時代のイチローがメジャーリーグの球史にその名を残す偉大なプレーヤーであったことは誰もが認めるところだ。だが一方で常に自分を追い込み、周囲にも決してこびることのない妥協なきストイックな姿勢が「近寄り難い存在」として誤解を招き、チーム内外からやっかみまがいの反発を買ってしまうケースも少なくなかった。

 マリナーズは2001年シーズンに加入直後のイチローの活躍もあってア・リーグ西地区で地区優勝を果たして以降、現在までポストシーズンに出場していない。長らく冬の時代が続くチームにおいてマリナーズ時代のイチローは孤軍奮闘し続けてきた。だが毎年のようにチームは早々と終戦を迎えているのに、イチローだけが自身の個人記録にスポットライトを浴びていた。

 日米の報道陣が他の選手をスルーしながら、記録更新のかかるイチローの個人取材を目的に大挙してクラブハウスを訪れていたので、マリナーズのチーム内に微妙な雰囲気を生み出していた。当時のマリナーズには、自分はロクに仕事をしていないにもかかわらず、「面白くない」「何でアイツばかり」と陰口を叩く三流メジャーリーガーの姿も散見された。

 そしてイチローのメディアに対する接し方も、当時のマリナーズ番記者の間にピリピリとしたムードをつくり出していた。たとえ、どんなに持てはやされようとも中途半端にこびへつらって愛想をふりまくような生ぬるい姿勢なんて絶対に見せたくない。

 そういうドライな思想の持ち主であるイチローは大勢やってくる日米の報道陣……その中でも日本人メディアには非常に厳しい態度を貫いていた。

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